前に書いてた小説の内容が気に入ったので、続けさせてもらいます。
「お、俺もう部活行くっ」
早口に言ってその場を走って逃げだした。
逃げることしかできない自分が憎い。何だって俺が逃げなきゃ・・・。
部室まで来て、中に入り込む。
体操着に着替えて、朝練に間に合うか不安になった。
「先輩、おはようございますっ」
振り返ると、後輩の籠川信吾がいた。
にっこりと笑み、礼儀正しく朝の挨拶をしてくるところ、とてもいい後輩だ。
「あ、おはよう」
そして俺は、あることに気付いた。
「お前、朝練行かねえの?」
「いえ、俺は功乃先輩を待ってたんです。一緒に行きましょう?」
「ああ」
いい後輩だなと思い、今日も頑張ろうと手を握りしめ、朝練場所へ走った。
一時間目の授業は理科。理科室へ移動するため廊下を歩いていると、信吾と会った。
「お前も移動授業なのか?」
「ええ、そうなんです。先輩は理科ですか?」
「・・・?そうだけど・・・」
何で分かったんだこいつ。
まあいいかと俺はその場で、その思いを捨てた。
「次の理科、何か火使うみたいです。はい、これあげますね」
手渡されたのは絆創膏だった。
変。やはり変だ。
「お前何で知っ・・・」
「功乃ちゃーん。早く行こうぜっ」
後ろから蓮寺に突きとばされ、俺は危うく転びそうになった。
「ちゃんって呼ぶな!つーか、突きとばさなくたっていいだろ!」
「ソ―リィ」
けらけら笑うだけの蓮寺。そして俺は信吾を忘れている事に気付く。
「ありがとな、信吾。じゃあもう俺らは行くから。っ蓮寺、待てよ!」
俺は蓮寺の後を追って、信吾をその場に残した。
「功乃・・・お前に言いたい事があるんだ」
「?何だよ、急にあらたまって」
ここは放課後の教室。真剣な顔をして話す蓮寺は、緊張しているのか声が少し震えていた。
「俺・・・女だけどこんな喋りだろ?真剣に、聞いてくれよ」
いきなり何の話だ。困惑する俺を置き去りに、蓮寺はとんでもないことを言った。
「俺と結婚してくれ!!!」
「・・・え?あ、・・・・・・っ!!!????」
今なんて言った。
あれ待てよ、普通これって男から言うもんじゃ。
別にいいだろ蓮寺と結婚できるならと、悪魔が囁いた。
駄目だ駄目だ!やっぱり男から言わなきゃ駄目だ!と、天使が喚く。
悪魔と天使が睨みあい、攻防戦をしている間、蓮寺は何かを取り出した。
「これ・・・受け取って欲しいんだ」
つつ、と渡されたのは、 指 輪 だ と 。
「ゆ、ゆゆゆゆ、ゆび、指輪ッ」
単語が口から滑り出た。驚愕の言葉さえまともに出ない。
リンゴーン、リンゴ―ンと、いつの間にやら場所は教会に変り、鐘がやかましく鳴り響く。
「受け取ってくれるよな?・・・功乃」
いつの間にやら蓮寺は白いタキシードに着替えており、俺の手を取って言った。
心臓が痛い。トゥンクと鳴ったのは気のせいだと思いたい。
そしていつの間にやら天使と悪魔の攻防戦に決着がつき、悪魔が勝ったようだ。
ほうら早く指輪を嵌めろと悪魔がはやし立て、勝手に手が嵌めようとした。
おい、やめろ。左手の薬指に嵌めるなやめろよよめろやめろやめろやめろ!!!
「オメデトォゴザイマァス」と悪魔が笑ったーーーーーー・・・・・・・
「嫌だああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
がばっ、と起き上がると、頭を何かで叩かれた。
え?あれ?教会は?指に指輪もないしえ?あれ?
「俺の授業中に寝て、しかも盛大に寝言を叫ぶとはいい度胸だなぁ、日島・・・」
見上げると、理科の教師、城長柚木がこちらを見下ろしていた。
ニヤリと笑みを浮かべているが、目はけして笑っていない。
「ひ・・・っ」
ようやく事の重大さに気付き、俺は小さく悲鳴を上げた。
「罰として放課後の理科室掃除、お前も強制参加だ」
ーーーーー・・・・・・ああ、今日は厄日だ。
続く