松竹映画。泉鏡花の戯曲を田村孟と三村晴彦が脚色。監督、篠田正浩。音楽、冨田勲。
導入部が素晴らしい。福井と岐阜の国境の日照りの続く村に足を踏み入れる山澤学円。村人たちは水不足で深刻である。学円が一人山道を登って来ると、不思議とこんこんと湧き出る泉を発見する。さっき下の村で聞いた鐘の音の鐘楼もある。村はずれの一軒家に住む娘にお茶と果物を請う。お礼にお金を置いていこうとすると、娘はそのかわりに面白いめずらしい話があれば聞かせてほしいとねだる。牡丹餅が縁の下に隠れていた話を話し始めようとした学円は、自分が腰かけた縁側に面した襖が少し開いたことに気づき、見上げた一瞬そこに懐かしい友の姿を見逃さなかった。
この映画は著作権の理由からかDVDやビデオになっていないので現在名画上映の機会がないと見ることができない。一度テレビで放映された時の一部わずかにカットされたものがYouTubeで見られるのが救いである。