天門の試練  30 | シンイ二次小説でんべのブログ

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翌日の朝、ヨンはウンスを伴い
康安殿へ姿を見せていた。

「挨拶はよい。医仙殿が無事で
何よりじゃ、王妃も案じておった故
直にこちらへ参るであろう。
して、大護軍?チョ・インシル殿の
倅に相違ないのであるな?」

「はっ!相違ございませぬ。
面構えが瓜二つであり
本人も何故父上をと申して
おりましたゆえ、間違いありませぬ」

「元に人質として参るおりより
余のそばに支えてくれた者が
徳興君に寝返り、用が済めば
殺められ、余はインシル殿を
不憫に思うのだ。
恨みなどもっておらぬし
黄泉の国で穏やかに過ごしておる
事を祈るばかりじゃ」

「義姉上様~~」

珍しく声を張り上げ康安殿の戸口を
開ける王妃様、余程案じて
おられたのであろうか
脇目もふらずウンスのそばまで
駆け寄りウンスを抱き締める。

「ご無事でようげざいました。
妾は一報を耳にしてからは
一睡もしてはおりませぬ。
心の臓がうるさいほど
高鳴っており、眠ることが
叶いませんでしたが
お顔を拝見できました故
今宵はぐっすり眠れましょう
ふふふっ」

「ご心配お掛けしすみません。
ですが王妃様、眠る事、食べる事は
人が生きて行く上で一番大切な事
なんですよ。失礼して診脈を
させてもらって宜しいですか?」

こくりと頷き王妃様は
右手を差し出す。
いかばかりかの静けさの中
ウンスは瞳を閉じ、瞳を開けた時
満面の笑みと涙を浮かべていた。

「王様?王妃様?
おめでとうございます。
ご懐妊の兆しが見られます
コロコロと転がるような脈
滑脈がはっきりと現れておりますよ
間違いありません」

「・・・義姉様、まことに?
妾が懐妊しておると?」

「はい!間違いないとは思いますが
後程侍医にも確かめて頂かないと
私一人では心許ないので・・・」

「でかした!王妃よ。
余も嬉しく思うぞ、こんな事していては
腹の子に障るやも知れぬゆえ
館に戻り養生せよ、チェ尚宮、
連れて戻りなさい。余も後程
参る故」

大層お喜びの王様は満面の笑みを
浮かべ、チェ尚宮に命じ
王妃様を退室させる。
ウンスもまた後程侍医と共に
参る旨を伝えていた。

「王様、真におめでとうございます。
これは国をあげての慶事ゆえ
民と共に祝いとう存じ上げます」

「大護軍?これで余も肩の荷が
おりたやも知れぬ。
医仙殿?無事に産ませて
やってくれぬか。
余はどちらでもよいのだ
王妃も無事にそして我が子も
無事に生まれてくれたなら
それでよい・・・」

王様は遠くを見つめしみじみ
呟くのであった。

「はい、これから典医寺で
議論を重ね、万全の態勢を整えたい
と思っています。全力を尽くし
出産を迎えたいと思っています」

ウンスはきっぱり言い切った。

十月十日、ウンスは忙しく
過ごす事になるのであろう。
翌年の春先に王様、王妃様の胸に
我が子を抱かせる為に。

始めは刺客の事を纏め
以降の対策をと思っていたが
思わぬ慶事ごとに、話は
それてはしまったがウンスが坤成殿へ
向かってる間、王様と大護軍で
しっかりと案を練っていたのであった。


・・・・・

皆様こんにちは。

突然の王妃様の懐妊話で
話はそれましたが
まずはめでたい!それに
つきますね。

一週間に一話しか更新できず
ごめんなさい。
またお付き合い下さいませ。