てんてんmamaさんに捧げる | シンイ二次小説でんべのブログ

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目を開くと心配そうに覗き込む
テマンの姿があった。

「わ、私…気を失ってしまったの
・・・?」

「は、はい…丸二日間眠ってました
から、お、おれ、ずっと看病して
いたんです」

「そう…ありがと
で、あの人はまだ?」

そう問われると
首を左右に振りがっくり
肩を落とすテマン。

「テマン君…大丈夫。
あの人はきっと…いえ必ず
帰ってくるわ」

「・・・はい・・・」

「さっ!私達も探しに行かなきゃ
チュホンはどうしたの?」

「チ、チュホンは大護軍を探しに
対岸へ護軍が連れて行きました。
ま、まだ何の知らせもありません
けど・・・」

「そうなんだ…でね?
ここはどこ?」

「兵舎の大護軍の部屋です。
兵舎は、にょ、女人禁制なんですが
医仙様は奥方様だから
問題なしと護軍が…で、でも
戦は終わりましたが、何処に
敵兵士が潜んでいるか
分からないから、お、おれが
お守りします」

長卓に椅子が一つ。
花もなければ衣をしまう箪笥の
類いもない。
あの人らしいと・・・ウンスは
思う。
生きている。ウンスはそう信じ
きりりっと前を向く。

「さっ!行くわよテマン君!
チュホンが必ず見つけくれる。
こんな所でじっと待ってる
なんて性に合わないのよ!」

むくりっと起き上がると
腹の虫が盛大に鳴った。

「ぐっ~~・・・やだ恥ずかしい
・・・聴こえたわ、よ、ね?」

「ご、ゴッホン…大丈夫です。
お、おれには何にも聴こえて
ませんから。あ!握り飯
作ってもらいますから
ちょ、ちょっと待ってて下さい」

タタタっと姿を厨房へと思われる
方向へ駆け出すテマン。
その後ろ姿に恥ずかしそうに。
「聴こえたんでしょう」
そう呟くとテマンがおらぬ間に
身支度を整えテマンが戻るのを
待つ。

直にテマンが戻ると
不格好な握り飯が竹の皮に
包まれていた。

「うふふっありがと…
テマン君が握ってくれたの?
あの人を探してから二人で
頂くわ」

「お、おれは・・・。
お腹に入れなくて大丈夫ですか?」

照れたようにツンツン頭を掻く
テマンとは対照的に
ウンスは前を向く。
愛しいヨンが行方不明なのだ。
お腹と背中がくっついても
どれだけ疲れていようとも
心が折れる事は出来ない
「私を待っている」「私が探さない
で誰が探すの」そう自問自答を
念仏のように繰り返し
ウンスはヨンの部屋を飛び出す。

暑い昼下がりであった。
陽が燦々と降り注ぎ
立っているだけで汗が吹き出す
そんな時節、ウンスは対岸まで
目一杯の力を振り絞り駆ける。
兵舎から対岸まで半刻弱
疲れも見せず弱音を吐く事もなく
前を駆けるテマンを見失わない
様にと、眉間に皺を寄せている。
かたやテマンは何度も何度も
振り返りウンスを気遣う素振りが
かいまみえる。

「も、もう少しです。
が、頑張って下さい」

「あ、ありがと・・・はっ、はっ」

・・・・・

一方ヨンは・・・。
大事な仲間であるチョモが
崖から落ちる寸前を目の端に捉える
と、身体が自然に動いていた。
チョモの腕を掴み力を込め
チュンソクらウダルチがいる方角へ
放り投げた。だがその反動で
自身は崖から
滑り落ちてしまったのだ。

その眸がゆっくり開く・・・。

「・・・つっ・・・ここは…」

見慣れぬ天井、そして見慣れぬ
住人と思われる老人と若者。

「痛むかな?・・・わしと
息子であんたを連れてきたんだ。
川岸に流れついて倒れていたんだぞ
大丈夫か?気は確かか?
鎧を着て良く無事でいたもんだ。
海水を飲まずにすんだのか?」

「・・・」

「あ、手当ては息子がしたんだ。
不器用だけ、どこれでも医員の卵
なんだぞ」

乱雑に畳まれたウダルチの正装
濃紺の衣、その横に名刀と言われる
鬼剣、そして上半身は白い布で
巻かれていた。

「名を・・・」

「わしはヤンサン。息子は
ソンジさ。ところで
あんたは高貴な人なんだろ?
先日まで続いていた戦の人かい?」

「ソンジャとやら忝ない…俺は
高麗軍総大将を勤めるチェ・ヨンと
申す者…そなたらは命の恩人故
屋敷に戻り次第、何らかの形で
恩は返す」

ヨンは上半身を支えられながら
起こすと頭を下げそう呟く。

「へっ!チェ・ヨン様?
戦で仲間を庇い海に落ちた
村人から聞いたんだ。
あ、奥方様が探しに来ていると
も聞いたけど…ここは
戦場から対岸だから
少し養生してから戻ればいいさ」

「ウンスが・・・すまないが
外に連れて行ってくれぬか
俺がウンスの気を探す故」

「わ、わかった」

親子に両脇を抱えられ
ヨンは眩しい陽を全身に浴びる
事ができた。

「すまぬが運気調息をする故
離れてくれぬか…座禅を組みたい故」

「う、うんき・・・なんのことやら
さっぱり分からないけど
大丈夫なのか?」

ヨンが腰を降ろすのを
手助けする親子。
どかりと腰を降ろすとすぐさま
座禅を組み運気調息に入る。
内功を持ち合わせるヨンは
多少の外傷なら運気調息で
なかった事にできるのだ。
瞑想に入ると近寄れない
オーラを放ち親子は後退る。

どれ程時が流れたのか
その眼が開かれると
すっと立ち上がり
親子に礼を述べ
ヨンは衣を纏い駆け出して
行ってしまう。

「おやじ、、チェ・ヨン様って
すごい人なんだな…おれお側で
仕えたいよ」

「そうだな…父さんも
屋敷の使用人でも良いから
側にいたいものだな。
男が惚れる男ってあんな人を
言うんだろうな」

その背が見えなくなるまで
親子は見送り粗末な長屋へと
戻るのである。


「ウンス・・・待っておれ
なれど、戦場へ来るとは
仕置きをせねばならぬな。」

軽功も持ち合わせるヨンは
飛ぶように駆け出して行く。
この早さに着いてこれるのは
山で育ったテマンしかいない

「んっ・・・」

騒がしい気を見つけたようだ。
駆ける方角からいち早くその気を
察し、ヨンは口の端を上げ
加速を増し駆けて行く。

「あ、大護軍です!
医仙様!大護軍がこちら来ます」

「えっ!ヨンが?」

そんな会話を知ってか知らずか
ウンスを追うようにヨンの愛馬で
あるチュホンが鬣を靡かせ
駆けてくる。
人馬一体とはこのことか
互いに互いを求めるように
くるくる眼が嬉しそうに
キラキラしていた。

「ヒヒーン」

ウンスを追い越しチュホンは
忘れ物を思い出した様に
ピタリと止まる。
乗れっと言っているのか
何度も嘶き出した。

「チュホン!のせてくれるの?
ありがとー、もう限界に近いのよ
でも…テマンは大丈夫?」

「お、おれは大丈夫です。
医仙様、手を貸しますから
の、のってください」

「そう…お願いね」

ウンスはテマンの膝に足を置き
そのまま勢いに任せ
チュホンに跨がる。
それを合図にチュホンは
駆け出す。あと少しだ。

「チュホン!ありがと。
ほんと賢い愛馬よね。
チュホンも早く会いたいのね
・・・私もよ。
あなたは好きだけどヨンは
絶対渡さないから。
諦めて頂戴ね…うふふ。
あ!チュホン…チュンソクさんと
一緒じゃなかったの?」

テマンは確かにそう伝えた。
チュンソクさんと対岸に
出向いていると。

だがチュンソクの姿はどこにも
見当たらない。

「もぅ~チュンソクさん置いて
きたの?いけないこね。」

ヨンの気が弱まり探すのに
苦戦していたチュンソクと
チュホンだったが、ヨンが
運気調息に入りその気が盛り返すと
一目散に駆け出し、チュンソクを
置いてきたのだ。

ウンスにとっても
チュホンにとっても互いに
かけがえのない存在なのだ。

ウンスの肉眼でもその姿が
はっきり見えてきた。
その大きなシルエット
その大きな瞳、紛れもなく
愛しいヨンである。
ウンスの瞳からは涙が溢れる。

「ヨ~~~ン!」

「ウンス!!」

賢い愛馬の背で片手を大きく振り
片手で器用に手綱を操る。
なれどそこはウンスである
あまりの嬉しさに両手を離し
手を振ってしまっていた。

「あっ!!キャー」

スローモーションのように
景色が流れていく。
そんな時だった・・・すっぽり
逞しい腕に抱えられた。

「えっ、ヨン?」

「全くあなたときたら!」

「えぇ~~まだ遠かった筈よ」

「俺を誰だと思うておる・・・。
ウンスの為ならこれしき
苦にはならぬ。
ウンスなぜ戦場におるのだ?」

「だって…ヨンが行方不明って
チュンソクさんから文が届いたから
チュホンと飛び出してきたの」

「まったく・・・なれど
もう大事ない…」

見つめ合う瞳に互いが
映る…己の身を案じ
飛び出してきた愛しい人。

二度と悲しませぬ。
ヨンは心に誓いいつまでも
いつまでも抱き締めていたので
あった。


・・・・・

皆様こんばんは。

落ちが今一でした~💦

この時間に一度アップしたかった。
てんてんmamaさんのアップの時間
皆様覚えていますか?

お話楽しみに待っていたのに
辛かった。言葉もなかった。

貴女をわすれません。
決して!



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