鈴蘭  36 | シンイ二次小説でんべのブログ

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泣かずに見送れた・・・。
そう自分を誉めてあげたいウンス
であった。

婚儀から一週間が過ぎた頃
両親が先の世へ戻って行った。

ヨンが屋敷中庭にて天門を開き
ウンスは先の世へは赴かず
中庭で笑みを浮かべながら
手を振り、ヨン一人で行き
直に戻ってきたのであった。

「不思議よね…同じ空の下に
両親がいないんだから…
今しがた一緒にご飯食べたのに
・・・それにマンボ姐さんの
所でヨンがあんな事するから
オモニは凄く喜んでいたんだけど
アボジがむすっとしていて
なんか笑っちゃったわ。
娘を取られた気分だったみたいよ
うふふっ」

「あ…あやつらにはからかわれる
始末であった。
特にトクマンにはいまだに言われて
おる。「俺もあんなことする相手が
早くできないかな」とな・・・」

「そうなんだ…みんなに
好い人ができたら良いけど
そう簡単にはむりかな・・・
でも運命の人は必ずいるわ。
私達みたいにね」

蒸し暑い風がふき
じとっとベタつく季節ではあるが
見上げる星空は流れ星が見えている。
王妃様の出産も身近に迫り
王宮では侍医として忙しい
日々を送るウンスにはとても
心穏やかに過ごせる夜になったに
違いない。


それから三日後の未明
王妃様が破水なされたと
屋敷にチェ尚宮の使いが駆け込んで
くる。

「わかったわ。すぐに
向かうと伝えてちょうだい」

「わかりました。旦那様?
チュホンの出番でございますか?」

「ああ…頼む」

「はい!」

使用人なのか、はたまたご先祖
なのか…それはいまだに
分からずじまいではあったが
良く気配りができ大層重宝していた。

「屋敷を頼むぞ」ヨンはそう伝える
と王宮へ向けチュホンの横腹を蹴る。

「お願い・・・無事に
出産させて・・・」
何に祈っているのかウンスは
そう呟くと顔の前で両手を合わせる。
高麗での出産は命がけと
頭では理解はできている。
なれど専門医ではないウンス
シュミレーションは十分行って
きたが悲しいかな実践は王妃様が
はじめてある。

そんなウンスの心根が伝たわるのか
ヨンは馬上からぎゅっと引き寄せ
ぼそぼそと呟く。

「ウンスならばやり遂げられよう。
俺は信じておるぞ」

「うん…ありがと」

破水したからと言っても
すぐにお産が始まる訳でもなく
初産は時間がかかる。
長い一日となるに違いない。
王宮大門前にはまだかまだかっと
右に左に落ち着きのない
叔母でもあるチェ尚宮の姿が
見え隠れする。

「叔母上、気配がだだもれでは
ないか…落ちつかれよ。
らしくもないと思うが」

「遅いぞ!!いまか今かと
待っておったのだ。
ウンスや急ぐぞ」

チュホンから
降りたウンスの腕を掴み
今にも駆け出す勢いであった。

「お、叔母様・・・
落ち着いてください。
初産には時間が掛かりますから
深呼吸をして落ち着きましょう。
お産は病気ではないですし」

ウンスに促されチェ尚宮は
「ふぅ~」っと太い息を吐き
こちらに向き直る。

「そうじゃな…少し痺れを
切らしてしまったようじゃ。
・・・王妃様がお待ちじゃ
ウンスや、いや侍医?参るぞ」

「はいっ!」

暗闇の中
お付きの武閣氏が松明にて
前を照らし、その後ろをチェ尚宮
ウンスとヨンが連れだって
坤成殿へと歩を進めるのであった。



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