鈴蘭  16 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「寒いわ…お父さん
奇妙なトンネルはどこまで
続くのかしら?」

不安気に呟く母親を落ちつかせる
よう父親は無言のまま掴んでいた
手をぎゅっと握りしめはやる気を
落ちつかせる。

「お父さん・・・ったら」

そんな仕草が続く中
灯りが見えてくる。
どうやら無事に三人は出口まで
たどり着いた様子であった。

「着いたようです。
親御殿の想いを天門が聞き届けて
くだされ…我が屋敷中庭にて
御安堵なされませ。
閨はこちらに」

「そ、着いたのね。
お父さん?ありがとう
なんとか落ち着いてついてこれたわ」

「母さんと離れ離れなんて
考えられないからな」

長い月日、苦楽をともに過ごした
夫婦ではある。好いた惚れたの感情
など口にすることはないが
夫の口から漏れた呟きに、妻は
ぽっと頬を染めながらその手を
握り返す。

音も立てず閨の戸口が開かれる。
広い寝台の片隅に掛け布団に
丸々塊が見えてくる。
両親は跳び跳ねそうな心臓鼓動を
感じつつ静かに塊に近づく。

「「・・・」」

母がそっと、手を伸ばし
布団の端をめくると愛しい娘が
すやすやっと眠っている。
何年ぶりになるのか・・・
いやいや何十年っと離れていたように
さえ感じられる両親であった。

「ウンス・・・ウンス?
お母さんよ、起きて…ウンスってば
・・・顔をよく見せて」

ヨンとの約束など
天門に置き忘れたように
母親が声を掛けるが「うぅ~ん」
っと、生返答がするだけである。

「もぅ~この娘(こ)ったら
呑気なものね・・・」

布団を剥ぎ取り無理やり
起こしてやろうかとも思ったが
ふとヨンの言葉が頭を過る。
「医員として役目に邁進している」
っと。

「何にも手に入らない時代で
貴女は頑張っているの?
疲れているのね・・・分かったわよ
ゆっくりお休み。
でも結婚式にはヨンさんに迎えに
来てもらい参加するから
感動の再会はその時にしましょう
いい夢を見るのよ…私の娘・・・
ウンスゃ・・・クスン…」

そっと頭を撫でてやる母と父
・・・。

「母さん…いいんだな?」

「えぇ…この娘の無事な顔が
見れたし、お小言は
またの機会にするわ…クスン、クスン」

その時、布団の中でもぞもぞっと
ウンスの手が温もりを求め
ヨンの気配を探す。

「・・・失礼・・・」

そう呟くっとヨンは尽かず
寝台に潜り込みその胸に囲い
頭を撫でてやると・・・ウンスの
口の端が弧を描き穏やかな笑みを
浮かべていたのである。
憎らしような微笑ましいような
なんとも言えない感情が
両親の胸にわくのである。

「ヨン君…君に託した・・・
ウンスを…娘を幸せにしてやって
くれ・・・結婚式には迎えに
来てほしいんだ・・・。
母さん?構わないだろう」

「えぇ・・・ヨンさん?
宜しくお願いしますね。
頑固で頑固でこの娘のお守りは
大変だろうけど…娘を泣かす事は
絶対許しませんよ。
すぐに連れてかえりますからね」

頭をもうひと撫でし
ヨンは寝台からおり両親に向かい
頭を垂れながら呟く。

「この命に代えても必ずや
お守り致しますれば天界にて
某とウンスを見守り下さいますよう
お願い申し上げます。
んっ、そろそろ天門の気配が
薄れて参りました故お送り致します
れば・・・」

「分かったわ、もう一度だけいい
かしら?」

ヨンの言葉を遮る形で母親は
寝台の端に腰掛け、その頬に触れ
その髪を耳に掛けてやる。
「ウンスゃ…」そう何度も呟くながら。

「ヨンさん?行きましょう
長くいたら離れられなくなりそう
だから、これをウンスに渡して」

差し出した紙袋を寝台の側におく。
後ろ髪を引かれながらも
訪れた時と同じように両親は
ヨンの後につき天門を潜ったので
あった。



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