鈴蘭  13 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「母さん…何だか風が強くなって
きたようだ。雨になるかも
知れないから、早めに切り上げよう」

夏の暑い日の事
朝から農作業に精をだす
ウンスの両親である。
定年を期に田舎へと移住し
一人娘であるウンスを大学まで
育て上げた働き者の両親である。

三年前ウンスが得体の知れない男に
拉致されてしまい
いまだ音信不通であることには
心を痛めていたのだが
愛しい娘がいつ戻ってきても
いいようにと、自慢の有機野菜を
食べさせてやろうと思いを切り替え
ていたのである。

「そうね。そうしましょうか・・・
あれ?あれは・・・」

母親が指差した先には
ごぅ~ごぅ~っと風が舞い目映い程の
光が見えていた。

「な、なんだあれは!
母さん危ない!!」

そう叫びながら母親を
小さなその背に隠し、父親は
その光を睨み付ける。

そうこうしている間に現れた男は
そうヨンであった。

「お尋ね致すがそこもとらは
ユ・ウンスのご両親に相違は
ないであろうか…」

「はっ?ユ・ウンスと言ったか!
なぜ娘を知っているんだ!」

夏の暑い日に鎧を身に付け
突然現れた得体の知れない男から
行方不明の娘の名を聴かされ
父親は声をあらげ睨み付ける。

「ご挨拶させて下され・・・
某…高麗武人チェ・ヨンと申す者
娘御ユ・ウンス殿と婚儀の運びとなり
ご挨拶に参った次第にて」

「ち、ち、ちょっと待ちなさい
ウンスと婚儀??娘は行方不明なんだ
それが何で婚儀などできる??
そ、そうか、これはドッキリ番組の
隠し録りかなんかなんだな。
出て来なさい!たちの悪い番組だ!」

「・・・」

父親があちこちとカメラを探し
動き回る最中であっても
ヨンは片膝をつき頭を垂れたままで
あるが懐より取り出した
ネックレスを手に取り二親の前へと
差し出す。

「こ、これは・・・母さんが
医者になれたときプレゼントした
ネックレスに間違い!母さん?
見てみなさい」

「・・・そ、そうです。
お父さん、ウンスは無事なんですね
良かったわ・・・」

それからヨンは事の仔細を詳しく
話して聴かせる。
王命とは言えウンスを拐い
高麗へと戻りしこと。
何故ウンスを連れて来なかったのか。
鎧は高麗の正装である事。
ポツリポツリっと話ていた。
その話にのめり込むように
聞き入っていた父親が口を開く。

「・・・私たちがどれだけ泣いたか
お前さんには、解るまい
王命?くそっ食らえなんだよ!
娘を返せ!!」

そう叫び父親は
ヨンの頬に往復ビンタを食らわす。
この程度痛くも痒くもないが
親御の気持ちがわかるヨンは
されるがままになっていたのだが
見兼ねた母親が止めに入ったのである。

「お父さん、止めて頂戴
血を流しているわ・・・
はいっこれで拭いてね。
でもね…お父さんの気持ちも分かって
欲しい。
貴方も両親はいるんでしょう?
私たちのやるせない気持ちに
嘘はないのよ。
ウンスは元気なのよね?
で、私たちはどうすればいいの?
どうすればウンスに会えるの?」

「己が天門故婚儀当日お迎えに
参上いたしますればそれまで
お待ち頂ければ幸いと存じ上げます」

その真っ直ぐな眸が
嘘偽りのないことを語っている。
一月待てるだろうか・・・っと
母は思うのだが…。

深く話を思い出すと何もない
時代に娘が生存している
それが分かっただけだが
親としてしてやれる事はと
想いを巡らしす。
婚儀??ウエディングベール?
いやいや婿になる人はどんな方?
そ、それが肝心な事!

「一週間後また来て頂戴ね
それまで結論は先伸ばしって事で
いいかしら?」

「無論…七日のちこの刻限に」

そう呟くとヨンは更に深く頭を垂れ
踵を翻し目映いばかりの光の中へと
飲み込まれていったのであった。


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