「サンミ!日々言うておろう
王妃様はご懐妊の身なのじゃ
分かっておるのか?」
「あ、・・・すみません
つい…早くお知らせしたくて
王妃様のぱぁっと輝くような
笑顔が見たくて…その笑顔を
盗みみると幸せになれると
女官の間では噂が持ちきりなんです
ですから…一番にそのお顔を
拝見したくて…」
「これ、チェ尚宮…そう怒るでない
一生懸命伝えてくれたのじゃ
そうであろう…サンミ?
妾の笑みを?そうかのぅ~
なにやら恥ずかしいものじゃ
うふふ」
「あぁ~~~そのお顔でございます
サンミはきっと幸せになれます~」
輝くばかりの笑みを浮かべる
王妃様に向かいサンミは
両腕を交差させ
嬉しそうに身悶えしていたのである。
「まったく…お前は・・・」
「若いってうらやましいですよね
怖いもの知らずだし見てください
王妃様…お肌もつやつやしていますよ
あぁ~うらやましい~~」
サンミの真似をしウンスも身悶え
するのである。
「ほんにのぅ~」っと王妃様も
雅にほほえまれたのである。
「じゃこれで失礼しますね
王様もいらっしゃるようですから
ゆっくり散策でもされれば
よいと思いますよ…ふふふ」
ぺこりと頭を下げると
ウンスは坤成殿をあとにする。
ひとりになりたかったのかも知れない
ウンスの向かった先は
思い出深いあの四阿である。
『あの長椅子で小刀を足首に
結んでくれたっけ・・・
あ、あの広場で小刀の操りかた教えて
くれたっけ…ねぇどうしてる?
早く会いたい・・・携帯電話が
あればなぁ~~』
泣き顔を見せまいと
健気に過ごしてきたウンスでは
あったがそんな事を想うと
ついつい涙が頬を伝う。
そんな時、日だまりのような暖かさに
ふわりと包まれ愛しい男(ひと)の
声がウンスの耳に届く。
「・・・泣くでない」
「え!…」
ウンスが驚きの声をあげ
声の主を確かめようと振り返ると
無精髭を生やし、やややつれた感の
あるヨンが優しい眼差しを
向けていたのであった。
「ヨン!!・・・」
ウンスは瞳を見開き
そう声をあげると
その瞳からは幾筋もの涙が
頬を伝い零れおちるのであった。
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