愛しき薫りを求めて(過程) 20 | シンイ二次小説でんべのブログ

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戦は終わりを告げた
知らせを聴いてから
十日を過ぎてもいまだヨンら高麗軍が
都の外れに入ったと言う嬉しい
知らせを聴けることはなかった。

季節も春爛漫で蝶は飛び交い
暖かい風が王宮内を駆け巡る
幾日眠っていないのだろう
ウンスは寝台に横たわっていても
眠りにつくことが出来ず
目の下に隈を作りそれでも出仕して
いたのだ。

『ウンス?寝てないんだろう
待ってろ、心が落ち着く香を炊いてやる
私室で少し横になれ』

「え?香まで作っているの?
いつの間に?」

『ソウの考案だ。何でも母親が病の
時あの子らみんなでスズランを探し
乾燥させて部屋に飾ったら
母親がぐっすり眠れて病が
良くなったらしい、だからスズランを
もらった』

トギの手にはウンスの世で言う
ドライフラワーが握られている
四姉妹もお付きの女官や
武閣氏それと邸使用人
護衛のスリバンまで
ウンスを案じ顔を曇らして
しまうほどである。

「そうなのね、お願いしようかしら」

『典医寺は他の医員に任せ
ウンスは横になれ』

ウンスはグァンス医員に声を掛けると
女官の手を借りふらつきながらも
私室へと向かい寝台に倒れ込む。

トギが乾燥されたスズランを
私室のあちらこちらへと
配置し、時がすぎると草原のような
青い汁の匂いが漂い始める。

「いい香り・・・草原の清々しい
香りとレモンのような香りが
混ざっているのね
ありがとうトギ…眠れそうよ」

『お安いごようだ、誰も邪魔は
させないから』

「うん、あり…・・・・」

どうやらウンスは瞬時に眠りに
落ちたようである。
誰にも弱音を吐かずひとりヨンの身を
案じ耐えていたのだろうか
眠りに落ちるとすぐに目尻から
流れる雫石をトギはそっと拭い
私室を後にする。
むろん私室のまえではサンミ、トイ
メイはにらみを利かす。


その頃ウンスは夢の中にいた。

『ん?ここは?・・・大樹・・・
嘘!天門…それに小菊が揺れている
・・・待って!私は植えてないのよ
待ってまって!!どう言うこと?
ん?あの背中・・・ヨン??』

帰還を待ちわび愛しい人の背中が
そこにある。見間違える筈がない

どこからともなく
もうひとりのウンスが現れ
その背中に抱きつく。
そんな光景が夢の中のウンスの
目の前で繰り広げられる。

『ヨン!!止めて!それは私じゃない
ヨ~~~~ン』

いくら叫んでもウンスの声は
その背には届くことはなかった。

その長い長い夢は二日に及んでいた
ウンス夢から覚める事なく眠り
続けていた。叔母であるチェ尚宮や
特別に邸の使用人であるサム、アル
ディジーをも呼び寄せウンスの世話を
させているのだ。

スリバンが典医寺の屋根から
心配そうにウンスの私室を覗き込み
女官や武閣氏も私室の階段前に
集まりウンスを案じている始末。

「グァンス?侍医はなぜ目覚めぬ?
二日ぞ、二日も飲まず食わずでは
ウンスの身体が持たぬではないか
目覚めるよう策はないものなのか?」

「チェ尚宮様針は打てますが
どうにも侍医殿の御体に触れるのは
躊躇われ・・・」

その通りである女人は…ましてや
侍医であり、護軍の許嫁である
ウンスの身体を例え医員であったと
しても甥であるヨンの許しもなく
晒す訳にはいかぬと叔母は
思い悩む。

「あ、あの~教えて頂ければ
針を打ちます。なんどか学ばせて
貰いましたので」

四姉妹が名乗りをあげる
だが正式に医員になっているわけでも
ない姉妹に任せるには躊躇われ
誰もが黙り込む。

頬を軽く叩き、額に冷たく絞った
手拭いをあててもウンスの目覚める
気配はまったくないのであった。




昼休み終わります
ごめんなさい。
読み返していません
誤字脱字ごめんなさい


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