愛しき薫りを求め (動きだす時) 9 | シンイ二次小説でんべのブログ

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翌日のこと・・・

ウンスはヨンとともに診療棟を
訪れていた。

「おはようございます崔沆さん
具合はどうですか?」

「貴女が助けて下されたと
侍医より教えて頂きましたが
忝ない・・・借りができたのだな
この借りは埋め合わせ致すゆえ」

「うふふ…そんなこと気にしないで
医員としてあたりまえのことでしょう
命の重さに身分の上下は関係ないわ
どんな患者さんでも私は、全力で
助けるそう決めているの」

熱があがることもなく幸いにして
命を繋げることができた崔沆
あとは不衛生極まりないこの部屋で
感染症には細心の注意をはらわねば
ならぬのである。

ウンスは出入りする医員に
手洗いの徹底と口元を布で覆うことと
衣は着替えることを義務つけた。

「あ、あの~奥様・・・名を教えて
頂けますでしょうか?」

「え?わたし?ユ・ウンスって
言うのよ、よろしくね・・うふふ」

「では、ウンス殿ぜひ診療棟で
お役目として、お勤め頂き
昨日の医術をご伝授頂きたいと
思う次第であります、王様には
わたしめからお許しを頂きますゆえ」

「え?・・・でも・・・」

ウンスは困惑顔をさせちらりと
ヨンを見つめるが
首を静かに振るヨンの姿が映る。

「そ、そうよね・・・すみません
崔沆さんがよくなられるまでは
通わせてもらうけど…正式の
医員としてはお断りするわ」

「ですがウンス殿・・あの医術は
魅力的でございまして・・」

「うん…分かるけどこの道具
こちらの世では作ることはできませんよ
素材が見つかるとは思いませんから」

「オ侍医すまぬがこの方が申す通り
俺らはこちらに根を生やすつもりは
ないのだ・・・今は旅人だが
もうじき戻らねばならぬ故
分かっては貰えぬか?崔沆殿の
体力が戻ればこちらに姿を見せる
ことはないと思うてほしいのだ」

「・・・」



「こちらにいらっしゃいましたか」
っと、王様つき内官が診療棟に
姿を見せたのは、それから四半刻ほど
あとのことであった。
ウンスはその間、傷口を確かめ
あの時、天界から道具とともに
持ってきた消毒液(エタノール)の使い方
を侍医に指南していたのであった。

「王様が礼がしたいと
仰せにございます
ともに宮殿の方までお越し頂きます
ようお願い申し上げます」

『王様つき内官は
表情を顔に出さぬのではないのか?』
っと、ヨンは思ったりもしたが
満面の笑みを浮かべる内官に
違和感を覚えつつも
ウンスの手を引き宮殿へと
向かったのであった。

「王様お連れ致しました」

内官に通され玉座の前へ歩みより
一礼するふたり。
卓を指差され座るように促されると
王様も玉座からお立ちになられる。

「昨日は世話をかけた由
まことにすまなかった、許嫁殿も
崔沆をお助け頂き恩にきる。
でだ…こちらの世に留まる気は
やはりならぬか?
まこと先の世へ戻るつもりなのか」

「はっ、王様…某が仕える王様は
先日申し上げました通り恭愍王
ただお一人、ゆえに某らは
先の世に是が非でも戻りますゆえ
このお話はなかったことと・・
お許し下され」

「そうであったの…そして恭愍王が
おわすと言うことは高麗が存続して
いる証であるな・・・護軍の口から
改めて聴けて安堵致した
実は・・・・」

高宗王は、昨夜武官が口にし
すでに天門へ向け武官が出立した事を
ヨンとウンスに伝える。

「まったく・・・天門を壊すなど
何を考えているのかしら!
確かに、この人の力は兵士千人に値
するかもしれませんけど
だからって・・・それにあの地は
高麗ではないはず敵兵士の目を
潜り抜け無事にたどり着けるとも
限らないのに・・・命を無駄に
するなんて!」

ウンスは怒りを露にする。

「許嫁殿の申す通りじゃ・・
知っての通り武臣政権がいまだ
まかり通るこの地…余が不甲斐ない
ばかりにすまぬ・・・」

「恐れながら王様、例え武臣政権の
世であろうと国王はあなた様に
ございますれば、民が潤えば国が
潤う。恭愍王のお考えは某ら
臣下に浸透しておりますゆえ
王様が腹を据えねば国は変わりませぬ
聡明な王様こと、某の言わんと
することお分かりになられる筈」

「護軍…腹を据える。しかと心得た
余は民に目を向けることとする
この高麗は蒙古の度重なる来襲で
荒れに荒れ…開京など
見る影もないと耳にしておるゆえ・・」

ヨンはぐっと言葉を飲み込んだ
先の世では開京が都である。
幼き頃、読破した古文書には
江華島を放棄することになると
言う事を・・・


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