愛しき薫りを求めて(動きだす時) 2 | シンイ二次小説でんべのブログ

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契りを交わした翌日
ウンスの機嫌が頗るわるい
幼子のようにぷぅ~っと頬を膨らませ
寝台の上でそっぽを向いている。

「ウンス…如何したのだ?」

「だって・・・これはなに?
外歩かれないじゃないの」

見れば首筋びっしり花弁が散らされて
いた。

「そ、それは俺だけに許された特権と
みなに知らしめる為であり
そこまで怒らずともよくはないか」

「嬉しいわよ、はい…でもひどくない
わたしを邸に留め置くヨンの策?」

「いや、それはない・・・
ウンスを誰もおらぬ邸に留め置き
ひとり役目に赴く気は毛頭ないゆえ
ただ・・止めることができなんだ
すまぬ」

ヨンは上体を起こし
後頭部を擦りながら素直に頭を下げる
そんな姿にウンスは怒っているのが
馬鹿らしくなりぷっと吹き出す。

「ぷっあはは~ もういいわよ
寒いから首もとに・・・あ!
あの桃色の風呂敷を巻くわ
ねぇ~ヨン?あの風呂敷は鞄の中に
入っていたかしら?」

「ああ・・・あれは・・・
いつの間にやら俺の懐に・・いや
隠れて持ち歩いておった・・
天界へ一度戻り戻ってくると
あの宿屋で言ってくれたであろう?
されど片時も離れ難く
貴女の薫りが残る物をと思い
懐に忍ばせておったのだ」

「そうだったんだ・・・嬉しい
そうだ~プロジェクター使えるかな
ヨン…一緒に見てくれる?
両親が映っているのよ」

「ぷろ?・・・」

ウンスは「いいからいいから」と
裸体にヨンの衣もふわりと羽織ると
閨の小物入れに大事にし舞い込んだ
プロジェクターを取りだしヨンの肩に
凭れ壁に写しだす。

「イムジャ!これはなんなのだ!
壁に人が入り込んでおる」

「そうね…なんて説明したら
良いのかわからないわ・・・でも
見て、私の両親なの」

写り出された壁からは、声が聴こえ
ヨンは眼が落ちるのではないか
と思うほど見開き見入っている。

「ウンスじゃがいも送ったよ」と
オモニのやさしい笑顔
照れたように「元気か」と呟くアボシ
知らず知らずにウンスの瞳が赤く
滲む。

「ウンス…義父上様と義母上様
なのか?」

「うん・・・」

ヨンはウンスの異変に気付き
そっと肩を抱きその胸に囲う。
涙が滲み
プロジェクターから写し出された両親の
顔が霞み見えずらくなった時
頭の上から声が聴こえた。

「義父上様、義母上様…某、高麗武人
チェ・ヨンと申す若輩者
されど、ウンス殿を恋い慕うこの心根
隠し通すこともできませぬ。
必ずや二人、某の世に戻りウンス殿と
夫婦となりこの生が尽きるまで
お守りすることをお約束致します。
・・・もう手放すことはできませぬ
何卒お許し下さりますよう
お願い申し上げます」

ヨンは頭を垂れると同時に
ぷちんと画像が切れてしまった。

「あ~充電がなくなってしまったわ
ヨン…ありがとう・・・きっと
貴方の想いは通じた筈よ」

「そうであろうか・・・ウンス
両親のもとに戻りたくはないか?
俺のそばで後悔はせぬか」

「それ以上言ったら怒るわよ
私は嘘は言わないわ。面倒だから
うふふふ…両親ももちろん大切だけど
貴方のそばでないと私生きていけない」

「ウンス・・・」

ヨンは今にも泣きそうなウンスを
ぎゅっと抱きしめ再び組み敷き
熱い口付けを重ねウンスを翻弄する。
それに反応するように
「ヒヒーン」っとチュホンが厩舎で
嘶く声が聴こえる。

「ヨ、ヨン・・・チュホンが
お腹空いたようよ…はやく行って
あげなきゃ・・・」

「ちっ、あやつ邪魔をするつもりか」

「仕方がないわよ。厩舎番も誰もいないんだもの・・・私達が気付いて
あげなきゃ、チュホン臍曲げて
家出しちゃうわよ、うふふふ
はやく行ってあげて、私は食事の支度をするから」

ウンスがそう言うと
ヨンはしぶしぶウンスから離れ
衣を纏い厩舎へと向かった。
ウンスは衣を着替え
厨房へと向かうのである。


「チュホン!邪魔をするでない
やっと願いが叶い、俺とウンスは
契りを交わしたばかりと言うに
まったく!!」

ヨンはぶつぶつ小言を連ね
チュホンに新鮮な野菜と
たっぷりの水を与える。

「ちいと寒いがウンスと三人で
遠出をせぬか、あの方に衣を誂えて
やりたいのだ。俺もあの方もほとんど
着の身着のままで、この世に
飛ばされたであろう?衣は数枚崔沆殿
より頂いたが、俺の許嫁なのだ
俺が誂えて当然であろう」

ヨンの話す言葉の意味を知ってか
知らずか、チュホンはヨンに鼻先を
擦りつけ甘えている。

「そうか…行ってくれるか?
お前がおって良かった・・・礼を言う」

ヨンもそれに応えるように
チュホンの鬣を優しくなで
朝餉を済ませると、チュホンの背に
跨がり、崔沆に教えて貰った
名ある反物屋へと向かうのであった。


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