木春菊  [託す] 50 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ヨンとウンスが本願である
鉄原に隠居し、瞬く間に
一年以上の月日が流れる。

暑い夏も終わり
雪が積もる前に旅に出かける
こととなった。

「行きたいところがいっぱいあるのよ
ヒョイアボジの墓参りでしょう
彼の地と遠いけどね。それと
都にも動けるうちに行きたいしね
・・・ふふふ」

「みなは都へ行くのであろう
そこで落ち合うことにすればよい」

「兄上…俺はおともします。邪魔は
しませんから・・トクマン?
ヘジンを都まで頼むよ」

「ああ…テマン任せろ。お二人を
頼んだぞ・・・」

テマンがこくりと頷くと
イルム、サンミもともに都へと
向かうことになり、門扉を固く締め
西と東へ別れたのである。
トギとポンは薬草の種を仕入れに
ともに都へ向かう。
二人は屋敷のそばに小さな薬房を
開き細々と生計を立てていた。
住まうところはチェ家ではあるが・・

百年前に飛ばされた時
親身になり見ず知らずのウンスの世話を
一家で面倒見てくれたヒョイアボジ…
孫にあたるサンギョンから
墓地を聴いていたが、都から
なかなか向かうことは出来なかった…。

「チュホン…遠いけどゆっくりで
いいから…お願いね。」

「ここからならばそう遠くはないぞ
二日もあれば
彼の地に行けるのではないか
ゆるりと参ろう」

「うん!」

チュホンに無理をさせるが
屋敷には誰もおらず
一頭残すのは忍びなく
ともに向かうことに相なった。
テマンも馬を用意し
二頭で国境へ向かう。
人知れずソウが護衛していた。

「貴方と二人…こんな事初めてよね
逃げるような旅は何度もしたけど
ぶらり旅だなんて・・・これで
戦がなけりゃ家族で旅ができるのに」

「ああ・・・」

「なあに…面倒くさそうに・・」

「少し痩せたのではないか?」

「そうかしら・・でも女に痩せたって
最高の褒め言葉よ。」

「ウンスは丸かろうが四角であろうが
俺の思いは変わらぬ」

「アッハハハ…四角って・・・貴方が
そんな戯れを口にするなんて・・・
貴方こそ丸くなったんじゃない?」

チュホンの背から落ちぬようにと
ヨンは細腰に長い腕を回し
ぎゅっと引き寄せる。

確かに、ヨンは鉄原に隠居し
刺が取れたように丸くなり笑みも
増えた気がする。
上護軍チェヨンを知ってる者は
その変わりように驚くかも知れない。
愛おしいウンスと、何のしらがみに
左右されることのない余生・・・
これを望んでいたのだ。

「温泉入りたいなぁ~。肌に効果が
あるような・・・この頃くすみが
取れなくて・・歳は取りたくないわね
卵みたいになんて欲は言わないけど
もう少しつるんって
ならないものかしら・・ふふふ」

「・・・いつまでも変わらぬぞ」

「うそよ。白髪も増えたし、目尻の
皺の数も増えたわよ。」

「・・・もう三十年くらいであろう
よい人生を重ねた・・そう思えば
よいのではないか?俺とて
白髪も増え孫もおり、じい様には
変わりないのだ」

「ふふふ…じい様とばあ様ね」


一方
都へ向かったチュンソクや
トクマンらは・・・

「イルム…サンミ?二人は
おともをしなくて良かったのか?」

「はい・・・。口にするにも
憚れますが…これが旦那様と奥方様は
最後の旅言っておいででございました
思い出にしたいと・・・ですから
夫婦水入らずで、お過ごし頂きたく
・・・」

「・・・そうか・・身体が
動けるうちにと言うことか・・」

トクマンの問いに
サンミがしみじみ呟く。

「んだ!いずれ人は黄泉の国さ
いぐだ・・おらたちもみんなもいぐべ
そしたら、みんなまた一緒だ
その時はおら・・・お姫様に
なりてえだ!」

「お姫様とな?ぐっ~アッハハハ」

「ひでぇ~だ!なんでわらべ
チュンソク様!!おらかて夢見ても
いがべ!」

「そうよ!チュンソク様
おなごはいくつになっても夢を
見るものよ・・ごめんなさいね~
旦那様が無神経で・・・
上護軍様には気が回るのに
それ以外は不器用なんだから」

「そ、そんな物なのか・・・
すまなかった・・」

チュンソクは後頭部を擦りながら
苦笑いを浮かべる。
みながそれぞれ都へ思いを馳せ
先を急ぐのである。



「真か?ミント!」

「はい。魯国大長公主様
スリバンのサルムから繋ぎが
参りましてございます」

「楽しみじゅ…ずいぶんと義姉様には
おおてはおらぬのぅ~。隠居されて
から初めて都へお戻りになるのじゃ
ミント…宴の支度をせねばならぬ
いつ頃かのぅ~」

到着は、半月ほど先であろうが
魯国大長公主は満面の笑みを
浮かべ、宴の支度に取り掛かるのである
さぷらいずを仕掛けるのが
得意であったウンス。
今度は魯国大長公主が悪戯な
笑みを浮かべ微笑まれるのであった。



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