木春菊 [託す ] 25 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「お待ちください~~。奥方様~」

「え?…あら追いかけてきたわよ。」

「奥方様・・・。はぁ~はぁ~
うちの娘アウにございます
この通り見目麗しくどこに出しても
どのおなごにも引けは取りません」

確かに若く凛としているとウンスは
思う。春草色のチマチョゴリを
身に纏い、都いち器量よしとでも
言っているかのようにも見える。

「あの・・・息子の嫁は
このスンジャと決めていますし
すでに王様の許しも得ております
ですから…このお話はなかった
ことにしてください。」

「え?息子殿でございますか
いえいえ。上護軍様の側室として
でございます。奥方様も失礼ながら
お歳を召され、さぞかし
上護軍様は寂しい思いをされて
いらっしゃるのではないかと
アウが十五にまるまで
この機会を待っており漸く
今日の日を迎えたのです…」

「え?えぇ------!!」

すっかりソマンにと思っていたウンス
不意を突かれ素っ頓狂な声をもらして
いた。

「はい。左様にございます」

「あの~~。別にあの人寂しい
思いなんてしていないと
思いますけど・・・」

「いえ。奥方様・・殿方様は
幾つになってもおのこでございます
とんとご無沙汰でございましょう?」

「・・・」

往来のど真ん中で言えるはずがない
いくら疎く鈍いウンスであっても
それは流石に憚れる言葉だ
もじもじとしていると・・・

「やはりそうでございましょう
ですから、我が娘を側室にお迎え
下さいませ。損はさせません。
奥方様は御正室として凛として
頂ければそれで宜しいので
ございます。上護軍様のお世話は
娘、アウにお任せくださいませ」

なんの意味の損はさせません
なのか、ウンスには意味が
飲み込めずにいたのだが、しまいには
なんだかおかしくなってしまい
徐々に肩を揺らし始める。

「あっはは…あの人は幾つになっても
こんな話がくるのね・・
もう慣れっこだけど…スンジャ
ごめんね…こんな話がソマンにも
ヒヨンにも、幾つになっても
来ると思うけど・・・
いやにならないであげて
それと・・・」

「俺が!側室も第二夫人持たぬ
意味が分からぬと見える!
とんと?ふっ…毎夜だが」

「貴方!!みんなの前で戯れは
やめてよね・・・恥ずかしいじゃない」

「ん?何が恥ずかしいのだ。真実を
知らぬゆえこのような話がいつまでも
来るのではないのか?」

「いやいやそんな問題じゃなくって
・・・それよりどうしたの
こんな時分に・・・
まさか!お役目をチュンソクさんに
丸投げしたんでしょう?」

「貴女が市井へ繰り出したとサルムが
駆け込んで来たゆえ、見回りがてら
市井へ繰り出したまでのこと
トクマンとテマンもおるぞ」

「あら、ほんとだ・・・偶然ね
市井で貴方と会えるなんて嬉しい」

ヨンが顎でさす方角には
槍を持つトクマンとテマンが
呆れ顔で控えている。
傍目も気にせず二人の世界に入る
ふたり・・・

「あの・・・上護軍様・・・」

「・・・なんだ・・・」

ぎろりと睨むその視線の冷たさに
悪寒が走るイ・ホフンとアウ母子・・
それでも口を開こうとすると

「され!!二度とこの方の前に
姿を現すでない。俺はこの方を護る
ためになら鬼にでも魂を売る。例え
おなごでも容赦はせぬ!」

「ひぃ~~~。」とかな切り声を
あげ母子は逃げ去るのであった。

「あ~ぁ~。貴方の印象すごく
悪くなったわよ。そんなに
睨まなくても良いのに。まったく」

話をそちらにふり
素知らぬ顔を浮かばせ、てくてくと
その場から逃げようと試みる
ウンスだったが・・・

「ウンス!なにゆえおとなしゅう
屋敷におれぬ!」

『あちゃ・・・やっぱりそこを
思い出す訳ね~~。』

「え?ほら…明日から私の見習いに
なるわけだし、ソマンの嫁さんなのよ
親睦を深めて当たり前じゃない?
口煩いお姑さんには、なりたくない
から…。」

「まったく・・貴女と言う方は
幾つになっても目が離せず
俺がおらねば何をやらかすか…
幼子より手がかかる・・」

「そ、そんなことないわよ・・
ちゃんとイルムもサンミもいるし
ひとりじゃないんだから」

往来のど真ん中、今度は
痴話喧嘩が勃発しそうな雰囲気で
ある。民に鬼神と崇められる
上護軍と、これまた王様から医仙と
称号を賜るウンスが向かい合い
あ~でもない、こ~でもないと
どちらも一歩も引く気配がないので
あった。

「まぁまぁ…上護軍・・ここは
市井のましてや往来のど真ん中です
民が見ております」

「あん!」

トクマンに促され
ふと回りに目をやれば民がくすくすと
声を潜め笑っている。だが高麗いち
愛妻家と、民は重々承知している
ためか、みな目元を緩め見守っている
感じではあるが・・・

「・・・みな、変わりはないか?
困りごとなどあらば、こやつに
なんなりと申し付けよ」

「へ?俺?・・・」

『クック・・トクマン貧乏くじ引いたな
俺は知らね~。』

テマンが腹の底で苦笑いを
浮かべていると・・・その場に
トクマンを残しふたりは
腕を組みそのあとをサム、スンジャ
イルム、サンミと続くのであった。
トクマンは、民に取り囲まれ
旦那が働かないだの、子に字を
教えてやってくれだの、溝をさらって
くれだの…いちにちこきつかわれ
くたくたになり兵舎に戻るのであった

「貴方のスンジャのお許しもらえた
かしら?」

「ああ…王様は大層お喜びであった
貴女の後継者を、王宮一丸となり
育てたいとも仰せであったぞ」

「そう・・・良かった・・
スンジャが学校・・・えっと
書堂のようなものだけど…そこで
女の医員を、育ててくれたら
もっと変わると思うのよ」

「病は避けられぬ・・己の寿命と
諦めていたみなが、貴女の医術で
命を吹き返す。それがどの町医員でも
可能になればみなの励みになる
その折りには、俺も手を貸すゆえ」

「うん…ありがと。まずはスンジャを
育てなきゃね…ふふふ
それでね…貴方の櫛を買いたいの
サムとスンジャと私とイルムとサンミ
・・・あとね・・・」

アルとミント、ヘジン、エギョンにも
とウンスは付け加え
人数分のお揃いの櫛を買い求める
時節の花紫陽花が小さく咲き
愛らしい櫛であった。

「これでよいのだな?」

「うん!ありがとう・・・」

ウンスは嬉しそうにみなの櫛を
店の主から受けとると
その場にいた四人には櫛を渡し
ヘジンにはテマンに預け
あとは懐深くしまいこんでいた。
はじめは遠慮していた四人では
あったが友の証としてと
ウンスから渡され嬉しそうに
受け取っていた。
それから王妃様と叔母様の
髪留めを買い求め、屋敷まで
ヨンが送り、再び役目に戻って
行ったのであった。


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