木春菊  [偕老同穴] 99 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「お帰りなさいませ。旦那様
奥方様・・・」

愛馬の手綱を片手で引き
片手ではソマンを抱き上げ
袖口をウンスに握らせ
その背後には、チュンソクとともに
家路についた面々。

使用人を始めとする
サルム姐さん、ソウ、そしてサムと
スンジャ大勢の出迎えを受ける。

「留守の間にご苦労だった。
よくこの方と倅を守り通してくれた
礼を言う。」

「滅相もございません。旦那様
奥方様が倭寇の手におちるなど
あってはならぬことと心得ております
これからも一丸となり奥方様と
若様をお守り致します。」

エギョンがそう呟き一礼すると

「湯殿の支度整ってございます。
どうぞ先に湯殿の方へいらして
くださいませ。暖かい 夕餉を
ご用意させて頂きます。」

「相分かった。チュンソクすぐに
戻る。ちと待っておれ
皆も待っておれ・・・」

「はあ・・・」

律儀なチュンソクの事。先に暇をとは
口にできず湯殿へ向かう三人を
見送ると、居間へと通される。

「サム…大事ないか?スンジャは
変わりなかったか」

「はい。お陰様でみんながお守りして
下さいました・・」

「そうか。ならばよい。倭寇の刺客が
押し入ったと耳にした折
心の蔵が止まるのではないかと
思うほど案じておった・・・」

「うふふ。チュンソク様のこと・・
そうではないかと、思うておりました
ですが、サムとスンジャのことは
御案じ召されずお役目に邁進して
くだされ」

「あら、サム手厳しいわね~
命をかけて戦ってきたのよ
もう少し会いたかったの~とか
寂しくて毎夜泣いていたのよ~とか
嘘でも言えないわけ?」

「サルム・・嘘などと・・・」

「ふふ。高麗のおなごは
強く生きなきゃ。ましてや子も生まれ
いつ未亡人になるかもしれないのよ」

「サルム!!まったく!口が過ぎよう」


「チュンソク!なにを騒いでおる」

湯殿から頬を高揚させ
ヨンとウンス、ソマンも笑みを浮かべ
姿を現す。
チュンソクはウンスの色艶を
見てはならぬと目線を床に落とし
申し訳なさそうに仔細を話す。

「・・・サルム。俺が連れ帰る
幾度戦に赴こうが、約束する!」

「・・貴方もかえってきて。・・」

「とと…」

「むろん俺も必ず帰る。案ずるでない
・・チュンソク、飯食って帰れ
いまからでは、サム殿も一苦労するで
あろう。遠慮致すな サルム、ソウ
そなたらも」

「そう来なくっちゃ。みんな掛けて
ちょうだい。さあ…頂きましょう」

会話の弾む夕餉だった
質素な膳ではあったが、この人が
いるのと、いないのとでは
こんなにも違うのかとウンスは
しみじみ思うのである。

「とと…し~し~できた!」

「お~。一人で出来たのか
ならばおしめは・・しておるのか?」

「たまに失敗するから…まだ外せなくて
でもね、五回に一回くらい失敗するの
でも…ソマンすごいでしょう」

ソマンは胸を張り
自慢気にヨンに教えてはいたが
失敗すると、ウンスに言われ
口を尖らせしゅんとするのであった。

あっと言う間に夕餉も終わりを告げる

「皆。此度は忝なく改めて礼を言う」

ウンスとソマンもヨンに倣い
使用人。スリバン分け隔てなく一礼する
てくてくとソマンが前に進み
まずはエギョンから
「おいちいまんま、あ~と。」と
衣をつんつんと引っ張り
腰を屈めろと催促し、頬にちゅうをする
チョンスには…「あ~と。」
イルムには「おちめ(おしめ)あ~と。」
サンミには「あそびあ~と。」

期待に胸膨らませサルムは
腰を屈め待っている。
そんなサルムを、す~と通り越し
ソウのもとへ「かか…をあ~と。」
サムへは、「すんじゃ。あ~と。」
チュンソクのもとへとことこ
行くと、「ととをあ~と。」

そしてサルムのもとへ戻ると
「・・ととみれた!あ~と
だいちゅき」としがみつく。
居間にいるみんなに
礼をいい、頬にちゅうをするソマン
照れたように、ウンスの背に隠れ
顔を赤らめる。

ちゅうをされたイルム、サンミなどは
初めてのことで嬉し泣きをしている
エギョンもそうである。

「もう~ソマンに惚れたわ。
あたしソマンのお嫁さんになるって
決めたわ。」

「サルム!一度死んでみるか!」

「ふふふ…冗談よ。本気にならないで
そうでしょう?サルム姐さん」

「あら、ウンス本気よ。あたし
ソマンに惚れたから。ソマン~
出ていらっしゃい。あたしと
帰るわよ~」

「ぎょっ!!それはいやいや!」

ソマンが瞳を見開く愛らしい仕草に
くすくすと皆が声を殺し笑う中…

「ソウ…ハヌルをあそこまでよくぞ
仕込んでくれた。あやつの手裏剣は
俺も舌を巻くほどであった。」

「そうでしたか・・・あの兄様は
筋がようございました。
懸命に食い下がり、瞳をらんらんと
輝かせ、『俺にも、迂達赤の中で
誇れる武術を』と何度も口にされて
おりました」

「トクマンが槍で頭角を表したように
ハヌルは、手裏剣。チュンソク
俺たちもうかうかできぬぞ」

「はっ!肝に命じて・・・
では皆様。そろそろ暇を致さねば
ソマン殿の安眠の妨げになりましょう」

揃って屋敷をあとにする
皆を見送りほっと一息つくと
エギョンにあとを託し
閨へと仲良く消えて行く

「若様がちゅうをしてして下され
たのよ~。どうしようイルム?」

「んだな~(そうだな)おら~
一生若様についていくだ。
若様が婚儀をあげ嫁を貰うべ
んでもって赤子をお守りするだ」

「あんた達、嫁さいかないのかい?」

「いがねぇ~。剣の腕をもっと磨いて
チェ家に一生奉公するだ!」

「わたしもそのつもりです。エギョン
姉さん。奥方様と若様のおそばに
居ます・・・」

「若いのにしっかりしているね・・
まぁ~好きにおし・・旦那様が以前
言って下されたね…生涯チェ家で
奉公してもよいと・・・さぁ!
後始末して私らも休むとしよう
精を出しておくれ」

エギョンの指示の元、後片付けを
精をだし、それぞれが部屋へと
戻るころ・・・・


閨では…
大好きな父が戻り、三人で川の字で
眠れる嬉しさからか
ソマンのおしゃべりは
なかなか収まることはなかった。

「てまん、ある、へじん・・
えっと・・・・」

小さな指を折、礼を伝えたい
人と顔を思い浮かべ
どうやら漏れがないか頭の中で
整理している様子である

「典医寺のみんなには
礼を言わないの?侍医も菓子を
くれたりするし、トギやポンも
遊んでくれるじゃない?」

「ちょし・・・」

うんうんと頷き指を折
どうやら片手では足りなくなった
ようであった。

「いっぱい・・・」

「ウンス。そろそろ眠らさねば
・・・・」

「そ、そうね・・ソマン休むわよ」

ヨンの意図を察しウンスは
ソマンのお腹を、ぽんぽんと
一定の感覚で押さえるとあっと
言う間にソマンは夢の中へ

その後二人は久方ぶりの熱い夜を
過ごしたのは言う間でもない・・


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