木春菊  [偕老同穴] 証 95 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「もしも…王妃様の出産で私が屋敷に
戻れなかったら貴方はどうするの
一人で屋敷に戻る?」

「何ゆえウンスのおらぬ屋敷に
一人戻らねばならぬ?俺もそばにおる」

「え?男は入れないわよ」

「・・・分かっておる…王様をお支え
する役目をかってでる。何事もなければ
チュンソクの役目なのだが、あやつも
サム殿とゆるりとしたいであろう
でだ…俺が・・ふっっ、まあよい
兎に角、そばにおる」

「なんだか都合のいい代役ね…でも
ヨンがそばに居てくれたら、心強いわ
予定日がもうすぐだかし
お腹もだいぶ下がってきていらっしゃる
から、いつ生まれても
おかしくないのよ…楽しみね…ふふふ」

ウンスの暦での年末は
もうすぐそこまで来ていたが
高麗で新年を祝うのは、旧暦の二月と
昨年王様が言っていた
ヨンと二人での
最後の新年を祝いたいが叶うかどうか
あやぶまれるところだ

ウンスのお腹も八が月に入り
端からみても、妊婦と分かるほど
膨らみをましていた

「寒いわ…」

膨らみがこれほどまでない頃は
ぎゅっと抱きしめて眠っていたが
八ヶ月ともなると、どうしてもそれは
叶わず隙間が空いてしまうのだ
無理やり抱きしめようものなら
蹴りは入るわ、小さな小さな拳が
腹に浮き出るほど盛大に暴れるのである

不思議なことに、背後からの営みの時は
大人しいのであるが…

ウンスはそう呟くと
すりすりと子猫のように、ヨンの胸元に
すり寄る

上布団を掛けてやると、ごろごろと
喉がなるのではないかと思えるほど
ウンスは、目尻を下げ口の両端が上がる

その愛しい仕草に、見つめる
ヨンの目尻も下がるのだった




「おはようございます」

「え?トギどうしたの」

『王妃様のご様子が・・早く』

ヨンとウンスが、典医寺に顔を出した
とたん、トギが眉を潜め駆け込んでくる

「え?王妃様が?分かったすぐ行くわ」

大きなお腹を片手で押さえ、ウンスは
イム侍医やトギ、ポンと共に
坤成殿に向かうが…どうしても
足元が見ずらいウンス・・
それをヨンが察し
大きなお腹のウンスを、さっと横抱きに
し、大股で先を急ぐ



「ヨン、ありがと助かったわ
先ずは内診してみないと、なんとも
言えないけど、場合によっては
王様にお越し頂かないといけないから
いつでもお越し頂けるように伝えて
欲しいの」

「ああ、伝える…俺もそばにおる故
いつでも呼べ」

こくりと頷きウンスは懐から
髪紐取りだし、ひとつに括り王妃様の
産所として用意してあった
部屋の扉を開ける

それを見届け、ヨンもまた宣仁殿へと
踵を返す

「王妃様…おはようございます
ウンスです」

奥にもうひとつ部屋がある
その扉を開けチェ尚宮が顔をだす

「待ちかねたぞ、医仙!王妃様は
明け方破水されたのじゃ…だが
まだすぐには無理のようじゃ
陣痛の間隔が長い故…その方だけが
頼りじゃ…なんとか無事に取り上げて
くれぬか?」

「はい…叔母様全力で取りかからせて
頂きます…」

「・・そなたも身重なのだ…無理を
するな」



「王妃様…一度内診させて
下さいね…ふふふ…」

ウンスは、わざとおどけて笑ってみせる
王妃様は…恥ずかしそうに頬を
染めていた


「まだですね…子宮口が開いてません
今のうちに…何か口にして下さい
体力勝負ですから…出来れば湯浴も
済ませたいんですけど、起きれますか
叔母様とトギが付き添いますから」

ひとつ部屋を隔てて、臨時の簡単な
湯殿を誂えていた
そのとなり部屋には、万が一に備え
イム侍医が控える
その部屋は、急遽帝王切開をしなければ
ならない時のために、イム侍医が
すぐに対応出来るよう、全てを
整えていた

何度も何度も論議を重ね
時には、イム侍医ともぶつかり
史実の王妃様のような悲しい歴史には
絶対しないと強い信念に、イム侍医も
動かされ同意していた




一方宣仁殿では…医仙すなわち
大護軍チェ・ヨンの奥方が、王妃様の
出産を取り仕切るのを躊躇う、一部の
重臣らが、今更ながら異議を唱えていた
ただでさえ王様の信頼を一身に集めて
やまない大護軍に、権力が集中するのを
恐れてのことである

「王様、護産庁(ホサンチョン)に
お任せにならないのかと、何故医仙殿
でなければならぬのでしょう」

「何度も言っておろう、王妃の望み
なのじゃ、義姉に赤子を取り上げて
欲しいとな…その願いを叶えて
やりとうてな」

「ですが…耳にするところによれば
医仙殿は、お産の専門ではないと…
国母であらせられる王妃様に、万が一
あらばどうすれば…」

一刻程同じ議論を繰り返していた。
王様もヨンも、眉間の皺の数が
徐々に増えてくる。
黙って聞いていたヨンが徐に口を開く

「王様、某がお話しても」

「構わぬ、申してみよ」

ヨンは立ち上がり、王様に一礼すると
重臣らに顔を向け言葉を吐く

「方々の王妃様に対する忠義、よく
分かり申したが、某は医仙を信じておる
故に、王妃様に万が一あらば
某の頚、方々に差し出すそれでは
不服と申すか」

「大、大護軍は大事な国の要…
そのような事出来ますまい・・」

ヨンの低い怒りを含めたものいいに
戸惑い恐れ、それでも重臣の一人は
食い下がる

「ばんっ」と音をたて、鬼剣を卓におき
ぎろりと重臣を睨み付け言葉を繋ぐ

「医仙の責任の所在を問いたいので
あろう、その折りはこの鬼剣を方々に
お貸しする。某と医仙、腹の赤子も含め
心の臓を、ひと突きすればよかろう」

まさしく鬼。気迫迫るヨンの形相に
重臣らは口を噤むしかなかった

「余も、大護軍と思いは同じである
医仙殿を信じておる。その方らは
何が望みじゃ、王妃の出産が
よからぬ方に傾けば良いとでも
言いたいか!まったく話にならぬ
大護軍…参ろう」

「はっ!」と短い返事を返すと
王様のあとを、ヨンと護衛の迂達赤が
それに続き宣仁殿をあとにする


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