木春菊  [偕老同穴] 証 78 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています







丸卓に贅を尽くした料理が運ばれてくる

「美味しいそう・・・」

こんがり焼き色が付き、香ばしい香りが
食欲をそそる
ウンスは、瞳を輝かせ
思わず口から漏れる本音である
チェ家は名門ではあるが
質素な暮らしぶりを通しているため
滅多にお目に掛かれない品が並ぶ


「義姉様どうぞ召し上がって下され
妾は、悪阻もなく食も進みますが
義姉様は、治まったと耳にしたゆえ
遠慮のぉ召し上がれ…」

ウンスの丸卓の上には心持ち
他の丸卓より、肉の量が多いのは
気のせいか…

「お肉・・・」

真新しい白い衣を汚すのではと
ウンスは少々躊躇い気味であったが
背後からヨンが、手巾を然り気無く渡す

「ありがとう…着替える前は懐に
忍ばせていたんだけど忘れちゃった」

「よい」

振り返りヨンを見つめ
礼を口にすると、ウンスは嬉しいそうに
いそいそと手巾を広げる

ヨンが肌身離さず懐に忍ばせる手巾は
ウンスが、初めて刺繍した黒く変色した
あの手巾であった
幾度も指先に針を刺し、黄色い糸が
血液で滲み黒く変色したのである

「医仙殿?余と変わらぬではないか」

「え?王様何か言いました?モグモグ」

既に、その口いっぱい肉を頬張り
ちらりと王様を横目で見つめながら呟く

「これ!ウンス!無礼であろう
場を弁えよ」

「チェ尚宮…よい、医仙殿にも
先日の騒動は、辛い思いをさせた
罪滅ぼしのつもりじゃ」

「ありがたきお言葉痛み入ります」

そう言うと、チェ尚宮は深々と一礼する

「王様、護軍殿が・・・」

「構わぬぞ」

アンドチの後をチュンソクと許嫁の
パン・サムの二人が凝縮する
素振りを見せながら一歩前へと出る


「王様…このような場を設けて頂き
恐悦至極に存じ上げます」

「堅苦しい挨拶は抜きじゃ
皆が畏まるであろう」

「はっ!ありがたきお言葉痛み入ります」

「で、護軍の屋敷の進み具合は
どうなのじゃ?」

「はっ、お陰さまを持ちまして
秋口には移れるかと」

「ならば、秋には婚儀の運びとなる
のだな!真にめでたい!サム殿
戦となれば、護軍は身体を張り
国を護るであろう…屋敷に戻りし折
その方が護軍の心を護るのだ…よいな」

「はい!しかと心得ております」

サムの笑顔と、チュンソクの
苦虫を噛み潰した顔が皆の笑いを
誘っていた


その一方ウンスは、いまだ肉を
頬張り続けていた

「ウンス…いい加減にせねば腹を壊す」

「大丈夫よ…二人分だから食べても
食べてもお腹いっぱいにならないのよ
貴方も食べて…滅多に口に出来ない
鶏肉よ…あ~んする?」

ウンスは、小首を傾げ
笑みを浮かべながらヨンに問う
ヨンは、その愛らしい仕草に
目元が緩むのを必死に押さえ
口を真一文字にぎゅっと結んでいた

重臣らは、サムの父親とカン・ヨンジュ
気心の知れた者、数名呼ばれただけで
あった
親元派は一掃してはいたが
それでも王様の政に意義を唱える
者も少なくないのも現実である



「大護軍、迂達赤も妻帯者が増えるの
縁とは異なもの、医仙殿がそちの正妻と
なり、以前はぴりぴりしておった
王宮の空気が変わった気がするぞ
無論よい意味でな
見るがいい…中庭の者の笑顔を…」

カン・ヨンジュに促され、ヨンは中庭を
見渡す
迂達赤、数名の重臣、サム、王様、
王妃様、叔母、いまだ一人ご馳走に
食らいつく愛しい女人
それぞれが、確かに満面の笑みを
浮かべている。その笑顔を守る為
この国を護ると、ヨンは改めて
心に誓うのであった




宴も終わりを告げそれぞれが
役目に戻る

典医寺まで送ってもらいウンスは
流石に食べ過ぎたかと、私室にて
着替える前に休息を取る

「ふっ--お腹いっぱいで、動ける
かしら…でも本当に驚いたわ
なんて器用なのかしら、あの人に
苦手な物なんかあるのかしらね・・
あ!あの部屋に衣置いて来ちゃった
ミント…アルお願いがあるんだけど」

「はい、医仙様なんでございましょう」

ウンスは衣を取ってきて欲しいと
頼み、ミントが向かい
アルは警護につく
そこにトギが含み笑いを浮かべ
お茶を運んでくる

『食べ過ぎて動けないんだろう
ほら、さっきのお茶だ飲め』

「あ、トギ何のお茶なのよ
教えてよ!教えてくれるまで
返さないからね」

『・・・やめろ!くすぐるな
お、教えるから』

ウンスは、盆を抱えるトギの腕を掴み
脇腹を一生懸命くすぐる
トギは、白い歯を見せながら
指先を激しく動かし告げる


『まったく!歳を考えろ!
それはただのお茶、人参茶を薄めた物だ
赤子に差し障りがないよう、何倍にも
薄めたものだ』

「な--んだ、そうだったんだ
変な秘薬でも飲まされたかと思って
いたんだから」

『ひ、秘薬!?そんなもの入れたら
あんたらの事だ、赤子が流れて
しまうわ!!』

トギは指を収めると、顔を朱色に染め
つかつかと部屋を出ていく

『もう…そんなに激しくはないわよ
多分…でも他の人は知らないから・・
比べようないんだけど』

頬を染めウンスは一人ごちるのであった


※※※※※

トギが言う人参茶とは、今で言う
高麗人参の事を指しております
ウンスは妊婦ですので、そのままでは
赤ちゃんに害が及ぶかも…と言うことで
何倍にも薄めたと言っています
広い心でお読み頂ければ幸いです

衣の御披露目、お付き合い頂き
ありがとうございましたm(_ _)m

でんべ



ポチっとして下されば嬉しいです





にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村