木春菊  [偕老同穴] 97 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「威勢だけは誉めてやる、男たるもの
折に触れはったりも必要だとお前らは
思っているのだな?俺はせぬが、ふっ」

ヨンの低い声が聞こえる

「わしら六人を相手に一人で?」

「ああ、俺一人で十分だ、素手での
喧嘩の仕方を教えてやる」

ヨンは低く唸るように声を出すと
右手の人差し指で来い!と合図を送る
一人のごろつきが「どりゃ~」と
ヨンに向かい駆け出す
またヨンは斜に構え、長い脚が
自身の身体に触れる事を
拒むかのように、前方高く投げ出され
ると、その男の頭部に命中する
「うっっ」と低く声をあげ、どさりと
横たわる男・・・

あっと言う間に、六人の男がヨンの身体
に触れる事を許されず、白目を向き
横たわる

ヨンは「ふぅ~」と息を吐くと呼吸を
整えていた

「テマン!市井の見回りは禁軍の役回り
であったな?すまぬが、暫く目を覚ます
ことはなかろうから、呼んで
来てくれぬか、俺らは先に戻る故」

テマンは黙って頷き丘を駆け下りて行く

「ほんと強いのね・・誰も貴方の身体に
指一本触れていなかったんじゃない?」

「ふっ、あたり前であろう?こんな
ごろつきの百人くらいどうもない
ウンスがそう言っていたではないか」

「そりゃ言っては見たけど・・」

「俺が膝を付くときは・・まあよい
戻るとしよう」

二人は瞳を見つめ合い語り合っていたが
ヨンは最後の言葉を飲み込んだ
『俺が膝を付くとき・・それは死ある
のみ』幾つもの修羅場をくぐり抜け
数多くの仲間を失って来たチェ・ヨン
愛しいウンスを残して逝けぬ
そう想ったためである


ウンスはいつも持ち歩く袋から、お手製
の軟膏を取り出し、ごろつきのそばに
そっと置いた

「悪い事ばかりしちゃ駄目よ、働きなさ
い、そして代価を得るの、もっと違う
世が見えてくる筈だから・・」

「ふっ、ごろつきにまで情けを掛けずと
もよいではないか?」

「あら、それは出来ないわ、擦り傷
一つでも放置していたら、菌が入り込む
場合が有るのよ、だから・・ふふふ」

「まったく貴女と言う方は・・
だが、人の格差に関わらず接する
ウンスが俺は恋慕っておる
この気持ちは生涯変わることはないが
だが、生涯振り回されるやも知れぬな」

「それって誉めてるの、貶してるの?
まあ、誉めてることにしてあげるわ」

ウンスは腰に手をあて睨み付ける
真似事をする

ヨンはそんな姿にさえ愛しく見える
己に呆れてしまいため息を吐くと
「叔母上に腑抜けと渇を入れられても
致し方ない」と溢す

そして二人は丘をおりチュホンに
跨がり王宮へと戻って行った

典医寺の門の前で人影が右に左に
世話しなく動いている
トギが凄い剣幕でウンスを出迎える
どこに行っていた!こんなに遅くまで
トギが指を素早く動かし、二人に向かい
怒りを露にする

「どうしたの?そんなに怒らないでよ」

「ウンス、トギは何を怒っておるの
だ?」

「え?トギゆっくりよ、そんなに
早くでは分からないわよ
ん?トクマン君が怪我をして
運ばれてきた?え~~!ヨン大変よ
トギありがとう」

ウンスは瞳を見開き驚きの声をあげる

「トクマンが怪我をしたと?先ずは
行かねばならぬ、何故怪我をしたのか
確かめねばなるまい、トギ典医寺に
運ばれたのだな、よく知らせてくれた」

ヨンは、トギに労いの言葉を投げ掛け
ウンスの手を取り駆け出して行った

「待って、急に走れないわよ・・・」

「すまぬ」

そう声を絞り出すと、ヨンはウンスを
さっと横抱きにし、何の躊躇もなく
王宮の中を再び駆け出して行った

すれちがう重臣、女官らは口をあんぐり
開き、ただ通り過ぎる二人の背を
見つめるだけであった

「おろしてよ、自分で走れるから
この方がよっぽど恥ずかしいじゃない」

ウンスはヨンを見上げ暴れるが
聞く耳をもたずひたすら走り続ける

その形相を垣間見ウンスは、ヨンの
真意を感じとり口をつぐむ事にする


「どうした!!トクマン!」

ヨンはウンスを横抱きに抱えたまま
典医寺に駆け込み声を張り上げる

「下ろしてヨン!」

ウンスはそっと下ろされると、髪を
一つに結び医仙、ユ・ウンスの顔になる


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