木春菊  [偕老同穴] 62 | シンイ二次小説でんべのブログ

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翌朝・・・

王宮より姿を消した 断事官
輿に乗りぺ・ユンの屋敷に潜んでいた

「断事官殿、間者は皆捕らえられて
しまったようですが」

「構わぬではないか、お前達の私兵が
おるのではないのか?して
牢に徳興君媽媽はいらしたか」

「それが・・知りうる限りの牢番に
金子を握らせ探りを入れようと
したのだが、誰も乗らぬゆえ」

「そうか、武官の上は大護軍チェ・ヨン
一人しかおらぬのか」

「いえ、上護軍はおりますが
堅物でして、我々の上官と懇意にして
おるゆえ乗っては来ぬかと・・・」

ぺ・ユンはまったり話す 断事官に
違和感を覚えていた

『緊張感がまったくないのは何ゆえ?
何か策がおありか、この余裕は
どこからくるのか?分からぬ・・・』

「ならばやはりあの女人を捕らえよ
徳興君媽媽と共に元へと戻る」

「 断事官殿どちらに?」

一人の重臣が席を立つソン・ユに問う

「何故そなたに答えねばならぬ
厠も行けぬではないか」

「し、失礼致しました」

ぺ・ユン以外の重臣はなんとか
断事官に取り入り、元に取り込んで
貰おうと必至の様子だ




一方典医寺ではヨンとウンスが共に
出仕していた

「侍医、昨日はすまん、そなたには
助けられるばかりだな・・」

「何をおっしゃいます、私など
気を感じる事しか出来ませぬ、それを
お知らせするしか・・剣を握り
助太刀も出来ませぬ・・・」

イム侍医は申し訳なさそうに
俯き唇を噛みしめていた

「イム侍医、私達はそれで良いと
思うのよ、まあ戦いはこの人に任せる
方が良いと思うから・・」

ウンスは敢えて言葉にしなかった
人の命を奪う者、かたや救う者
交わる事はあり得ない二人が
こうして、縁で結ばれているのだから

「どうした、ウンス・・・」

「ん?何でもないわ・・・ふふふ
カンさんの容態見てくるわね
王妃様の所も行ってこなくっちゃ」

「典医寺でこの方のお役目がない折
兵舎で過ごすゆえ、すまぬが
呼びに来てくれぬか」

「その方がよろしいかと
私では、お守りすることは
出来ませぬゆえ、何かの折には
呼びに参ります」


「カンさん、具合はどうですか?」

「医仙殿、わしは変わりはない
昨日の騒ぎ聞いたが、怪我はなさそうで
なりよりだ」

「ご心配お掛けしてすみません
この通り皆さんのお陰で無事にです
ちょっと診察させて下さいね」

ヨンに目配せすると
ウンスのお役目と、己に言い聞かせ
ヨンは背を向ける

ウンスはそう呟くと脈に触れ
手術痕を確認する

「もう大丈夫みたいです、お屋敷で
静養なさって下さい
でも無理はいけませんよ、お役目も
無理ですからね!」

ウンスは両手を腰にあて、胸を張り
話していた、そのウンスの仕草に
カン・ヨンジュは口の端を上げ呟く

「医仙殿には敵わぬな・・・ふぅ
奥が参れば戻るとする、大護軍
医仙殿世話になった、暫し屋敷に
籠るが、手に余る事が有れば
いつでも訪ねて参れ」

「はっ!」

ヨンは頭を下げる



二人は坤成殿の前に着いた

「王妃様、大護軍様と医仙様が参って
おります」

警護にあたる武閣氏が声を掛けると
扉が開きチェ尚宮が顔を出す

「入るがよい」

「義姉様・・ご無事でなりよりでした
妾はチェ尚宮が戻るまで、眠ることも
出来きはしなかったのじゃ・・・」

王妃様は潤んだ瞳で
ウンスを見つめていた

「ご心配お掛けして申し訳ありません
怖い思いはしましたが、皆さんの
お陰でこうして無事です」

「大護軍ご苦労であった、だが
断事官は、まだこの地におるのじゃな
勝てるのか?」

「はっ!王妃様必ずや成し遂げて
見せますゆえ、御案じ召される事は
ございませぬ」

ヨンは片膝を付き一礼をする

王妃様はヨンを立たせ、卓に二人を
腰掛けさせる

「旦那様、無理はしないでね」

ウンスは卓の下でヨンの手を
ぎゅっと握り、微笑み掛ける
ヨンもまた片頬を上げると
ウンスを優しい眼差しで見つめていた

「これ、お前達王妃様の御前ぞ
いい加減にせぬか!」

「よいのじゃ、二人は・・なんと?
・・・!愛しあっておるのじゃ
小言は止めよ」

王妃様はあの時ウンスに教えて貰った
言葉を思い出し、二人になげ掛け
袖口で口元を隠し微笑んでいた

「王妃様、沢山のご馳走ありがとう
ございました、家族で美味しく
頂きました」

「家族とな?妾もその家族じゃ
訪ねてみたいものよのぉ義姉様の屋敷
へ」

そう呟くと王妃様はちらりと
チェ尚宮の顔を見るが
「なりませぬ」と返事がすぐに
返ってくる

「亡くなったチュソクやトルベ
他に命を落とした迂達赤・・
大切な家族だと、この方に
教えられました」

「ほんに義姉様は慈悲深いお方じゃ」

「と、とんでもないです、私が慈悲深い
なんて・・」

ウンスは真っ赤になりながら、顔の
前で手を左右に振る

その仕草に皆が笑みを溢していた


坤成殿を後にし兵舎へと向かい
ヨンの私室の扉を開けると
寝台が備えてある

「あれ?昨日はなかったのに・・
どうしたの?」

「ああ、ウンスの私室はまだ使えぬゆえ
それに 断事官との事がある
暫くはここがウンスの私室にもなる
よかろう」

「うん!一緒に居れるなんて夢みたい
あ、手伝うわ」

拝謁の刻限が近づき
ヨンはウンスの手を借り
着替えを済ませる

「テマンが扉の向こうで警護に
あたるゆえ、何か有ればテマンを
呼べばよい、決して一人では
出歩いてはならぬ」

「はい、約束するわ、でも典医寺から
呼び出しが来たらどうすればいい?」

「テマンが共に行くゆえ、案ずる事は
ない」

ヨンはウンスを腕の中に囲い
チュッと音をたて口づけをする

「では行って参る」

そう呟きヨンは微笑むと
ウンスは「行ってらっしゃい」と
小さな手を振って見送る



ヨンは拝謁に向かったまま
いまだに戻らず既に日は
西に傾き始めている
突然、扉の向こうが慌ただしく
人の声が聞こえてくる


「医仙様ホンです、カン殿の容態が・・
早くおいで下さい」

「え?カンさんが・・もう屋敷に
帰ったと思っていたのに
おかしいわね・・
兎に角すぐに行きます」

ウンスはテマンとホン医員と
共に典医寺へ小走りで向かう
ホン医員は足を止めテマンに
こう呟いた

「あ!テマンさんチェ尚宮様が
お探しでしたよ、見掛けたら
坤成殿の方へすぐに参れとの事でしたが
急ぎいらした方が宜しいかと」

「チェ尚宮様が大護軍ではなく、俺を
探していたと?なぜ・・」

「テマン君構わないわ、あの人に
伝言でもあるんじゃないの、行って
差し上げて」

「でも俺・・医仙様のそばを離れぬな
って言われていますから・・」

「じゃ叔母様には私から謝って
おくわ、急ぎましょう」

「ちっ」とホン医員の舌打ちが
テマンの耳に届く

『ん?こいつ・・なんだか怪しい』

テマンはぎろりとホン医員を睨み付け
ウンスに向き直る

「医仙様、こいつ舌打ちしています
戻りましょう、誰か典医寺に
行って確かめて貰いますから
それからにして下さい!」

「そうなの?ホン医員、舌打ちの
意味は?・・・」

「ったく!煩い女人だ、これだから
女人は嫌いなんだ、つべこべ言わず
付いてくれば、怪我せず済んだものを
それに俺が侍医の補佐をするんだ
女人なんかに務まる筈がないんだ」

「はぁ・・俺小さいから舐められてる?」

テマンはウンスを背に庇いホン医員を
見上げる、ひょろひょろとしている
が背丈はトクマンくらいはある

「ホン医員止めた方が身のためよ
テマン君強いわよ~あの人の私兵する
くらいなのよ、私は言ったわよ」

「ふん、こんなちび!赤子と同じよ」

そう叫ぶと、ホン医員は二人に向かい
一歩、歩を進めるのだった



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