木春菊  [偕老同穴] 55 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「医仙殿~!」

まだ夜明け前、ついさっき眠りに付いた
筈・・・

「カン殿が目覚めました~医仙殿」

イム侍医の声がウンスには遠くで
聞こえる気がした

「ん?ヨン侍医が・・・」

寝台の上、腕を上下に動かすが
ヨンの温もりはあるもものその身体は
どこにもない

ふと顔を上げるとヨンが扉を開け
既にイム侍医と話している

「ウンス、起きれるか?カン殿が
目覚めたそうだ」

「早いのね、起きるわ」

ウンスは鉛の様に重たい身体を
引きずるように着替え
典医寺へヨンと共に向かう

「ヨン、ここからは入れないの」

典医寺の一室白い天幕で覆われ
中にカン・ヨンジュが眠る寝台がある
ウンスの案で集中治療室を作っていた

「これは・・・」

ヨンはその一室の変わりように驚く

「ここで待っていてね」

無言で頷くヨン

「カンさん、分かりますか?」

ウンスの声にゆっくりと瞼を上げる
カン・ヨンジュ

「わしは生きておるのか?・・」

と、ポツリと呟く

「あたりまえです、誰が手術したと
お思いですか?」

意識が回復すれば当然のように
やってくる痛みとの戦い、苦痛に
顔を歪めた

「痛いですよね、この痛みも
生きていればこその証です、痛み止めの
薬草を用意してありますから飲みましょう
そしてまたお休みください」

ウンスはカン・ヨンジュに用意していた
痛み止めの薬草を煎じたものを
匙ですくい飲ませた

暫く様子を窺うが再び瞼が閉じ
カン・ヨンジュは眠りにつく

「ふぅ~」と息を吐きウンスは天幕より
姿を現せる

「ウンス、どうであった?」

「そうね、意識が無事に回復はしたけど
これから、長い戦いになるわ
お役目復帰は少なくても三月先かな
順調にいけば春には復帰できると思う
わ、イム侍医、他の医員が出仕したら
交代で休んでね、ご苦労様でした」

ウンスはイム侍医に、労いの言葉を掛け
ヨンと再び私室に戻る

「あの一室はウンスの案なのか
天幕はウンスが言う感染症を
起こさぬ為にか?」

「そのつもりで天界の部屋を真似て
見たんだけど、あれしか出来なくて・・
細菌予防になるといいけど」

私室に戻り寝台の端に二人腰掛け
小声で話している

「まだ夜も明けぬ少し眠るとよい」

こくりとウンスは頷くとそのまま
ヨンの肩に凭れ瞳を閉じていた

そんなウンスの寝顔をヨンは愛しそうに
見つめていたが、ウンスの身体を
静かに寝台に横たわらせる
己もその脇に身体を潜り込ませぎゅっと
抱きしめヨンもまた瞳を閉じた




日が登りヨンはいつものように兵舎へ
向かい、ウンスはカン・ヨンジュの一室
へ顔を出し様子を窺い 診脈の為に
坤成殿へと向かう


宣仁殿拝謁の刻・・・

重臣最高位のカン・ヨンジュが
不在の折り、大護軍を疎ましく思う重臣
らがこれ幸いと騒ぎ出す

「王様、腹を切られ生きてる筈が
あるなど信じ難い話でございますれば
カン殿が生きておられるなら
是非ともお目に掛かりとうございます」

「カン殿は昨日長い刻を掛け医術が
終わったばかり、無体な事を申すでない
今は典医寺で眠っておると聞いておる
違いないな、大護軍」

「はい、王様、夜明け前目覚めたと報を
受け、医仙と共に向かい
顔は見てはおりませぬが、声は
しかとこの耳で聞いております」

「何ゆえ顔を見ておらぬ?」

「典医寺の一室を、医仙の里の一室に
真似、菌を少しでも遠ざける為の
天幕を張り巡らしておりましたゆえ
某も立ち入ることを、止められた
由にございます」

「医仙の猿芝居ではござらぬのか
大護軍、許嫁の失態を隠せるとでも
お思いか!」

ヨンの眉毛がピクリと上下する
長卓に立て掛けていた鬼剣を咄嗟に
握りしめていた

「そちは戯けたことを申すでない
医仙殿はそのような女人ではないわ
ぺ・ユンそなた不治の病を知って
おるか、あの病で亡くなる民が
医仙の医術が広まれば少なくなるのだ
余は民を守らぬばならぬ身
医仙を蔑ろする者はこの余が許さぬ!」

「は・・・」

このぺ・ユンあの流刑に処された
パク・ミンウと陰で繋がっていた重臣
表だっては動かず、身を潜め処罰を
すり抜けていた頭の切れる男である



「王妃様、御変わりございません」

ウンスは静かに瞼を閉じ脈に触れ
再び瞼を開けるとそう呟やいていた

「義姉様、カン殿の医術、五刻は
掛かかったと、チェ尚宮より聞き及び
ました・・身体は大事ございませぬか」

「はい、久しぶりの手術で大変でしたが
なんとか乗りきる事が出来ました
お気遣いありがとうございます」

「して、カン殿は?」

ウンスは王妃様に子細を伝えた

「真、ご苦労てあったのぉ・・・」

そう呟き王妃様は慈しみの眼差しを
ウンスに向けていたのだった


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