木春菊  [里程] 10 | シンイ二次小説でんべのブログ

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王様万歳、高麗軍万歳、大護軍万歳

「凄い歓声ね、王宮の近くなら
まだ分かるけど、開京の町外れ
なんでしょう」

ウンスは瞳をみ開き馬上より
民、総出の歓声を他人事のように眺める

『まったく、誰なんだ、秘密裏に
王宮に着きたかったものを』

ヨンはチュンソクに声を掛け
牢車に幕を掛ける様に指示を出した

「テマン!誰かに捕まったか?」

「マンボ姉弟に見つかり
話すまで帰して貰えず
帰還を伝えました、すみません」

「はあ・・余計な事を・・
仕方があるまい、次からは気を付けろ」

テマンはチェ尚宮に帰還の旨を伝える
為と、屋敷の確認と王様に
拝謁する折のウンスの衣の用意と
牢車に徳興君がいる事を伝えに
走り、戻って来ていた


「私、横に並んでも良いのかしら
ウダルチでもないのに・・・」

「俺の許嫁と胸を張り隣におればよい
それにまだ二等兵ユウンスゆえ
迂達赤には違いない」

ヨンに許嫁と言われた事が
嬉しく思え、ウンスは言われた通り
胸を張り前を見据え馬の歩を進めた


「ん?彼奴らか」

「大護軍~」

どこからともなく現れたジホとシウル
ヨンとウンスの間に入り込み
交互に二人を見上げる

「医仙、本当に戻って来たんだな
嘘かと思ったよ、そんなに大護軍が
良かったのかよ?」

「ジホ、つまらぬ事を聞くでない
お前たちはさっさと消えろ」

「ちぇつまんね~」と言い残し
ジホとシウルは
人混みに紛れ消えて行った

「マンボ姐さんたちも
どこかで見てるのかな、あの時
匿ってくれたじゃない、感謝してるの
それにクッパも食べたいわ」

そう呟くとウンスは辺りを探すが
見つからずしょんぼりと肩を落とす
そんなウンスをみかね、ヨンは
「落ち着いたら、共に参ろう」と
言葉を掛けていた

その言葉に満面の笑みを見せ
ウンスはこくんと頷いた


暫く進んでいると王宮の大門が
肉眼でも分かるくらい見えて来た
民の歓声もいまだに途切れる事なく
続いていた


「叔母上・・」

ヨンがいち早くチェ尚宮を
見つけ呟いていた

「どこ、どこに居るの?あ!・・・」

ウンスの瞳にはみるみる涙が滲む
無事に戻って来た安堵感と
何度も力をかしてくれたチェ尚宮に対し
感謝の気持ちから流れる涙だった


大門脇にチェ尚宮とその後ろに
数名の武閣氏が控えていた

「さあ、イムジャ」とヨンは両手を広げ
いつものようにウンスを馬から降ろし
抱き締めた

「泣いてはならぬ、戻って来たのだ
貴女は俺の所へ、二人が住むべき場所へ
そうであろう?」

ウンスはヨンの胸に顔を埋め両手で
顔を隠し何度もヨンの名を呼ぶ

バシッと頭を叩かれヨンは振り返る

「叔母上、何をする」

「退かぬか、一人じめするでない」

「こんな所で、わざわざ出迎えか?」

ヨンは叩かれた後頭部を押さえながら
少しむっと口を尖らしながら呟く

「お前ではないわ、戯けが」

そんな二人の会話を耳にし
ウンスは顔をあげた

「チェ尚宮さん・・・」

そう呟くと
再びウンスの瞳に涙が浮かぶ

「よくぞ戻られた、こんな甥の為に」

チェ尚宮はそう言うと
ウンスを優しく抱き締めた

「おいおい話を聞くとして
一つだけ私の耳で
確かめたき事があるのだが、よいか」

ウンスはこくんと頷いた

「甥に嫁いでくれるのだな?
彼の地から王様宛の書簡の他に
私に文を内密に届けてくれたのだ
許嫁になったと、間違いないな
それと屋敷は使用人夫婦が
住み込んでおる案ずる事はない」

「屋敷の差配感謝致す」

ヨンは深く頭を下げた
それに習いウンスも頭を下げる

「お前が屋敷を出てから
十数年、傷んだ所も多々あるが
どうするかは、二人が決めればよい」

「叔母様とお呼びしても構いませんか」

「よい、しかし王宮ではチェ尚宮で頼む」

「はい!」

やっとウンスが笑顔になった

「ヨン、テマンから聞いた
牢車の中は、あやつとは真か」

チェ尚宮の言葉にヨンは静かに頷く

「公に出来ぬゆえ裏門より
牢へ連れて行けと
王様のお言葉を賜っておる
お前が自らその目で確かめよ
しかと頼むぞ」

「さあ参ろう
湯浴し着替えねばなるない
王様と王妃様が 宣仁殿で
お待ちかねじゃ
ヨン、お前も着替え迎えに参れ」

ヨンは頷くと迂達赤に命ずる事なく
自ら裏門に向かうのであった



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