木春菊9 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「そなた、なにゆえそう焦っておる
額にすごい汗ではないか」

「焦ってなどおらぬが」

そう言いながら、額の汗を袖で拭く
イ・ジュンホ

「この者を知っておろう」

「知らぬ!見た事もないわ」

「そうか・・申してみよミンソク」

チェ・ヨンは牢に瞳を向ける

「・・・・・」

「だんまりか、チュンソク連れて参れ」

「はっ!」

すぐに、他の兵に指示し元に走った
筈の手下が連れられて来た

「お前・・・何故ここに
あの方の元に向かったのではないのか!」

ミンソクは捕らえられた手下を
見つめ声を張り上げる

「俺達を甘くみるな!」

チュンソク一喝すると、ミンソクは
項垂れ語り出した

「そうだ、俺は護軍の指示で
大護軍がここに居座る訳を探れと
言われ、もし髪の赤い女人が
現れたなら、拐いあの方の元へ
連れて行けと言われただけだ
全部話した、見逃してくれ
助けてくれよ~」

「黙れ、喋るでないわ!」

護軍は慌てふためき
ミンソクの言葉を遮る

「ほう、ならそなたから聞けるのか」

チェ・ヨンは口の端を上げ
一歩一歩詰め寄る

「お、俺はあの方が、自分が王になった
暁には、俺をそなたの代わりに大護軍
にしてやると言われ、従ったまでだ
こんな国境ではなく王宮に帰り
地位も名誉も手に入れてやる
そう夢を抱いただけだ、何が悪い」

「俺の代わりに・・己の国を売るような奴に
民も軍も従うまい」

「チュンソク、こやつは開京に
連れて行く、牢に入れておけ」

「はっ!」

「離せ、離さぬか!無礼者!
牢番ごときが触れるでない
覚えておれ大護軍、俺はこのままでは
終わらぬ、きっと返り咲いてみせる」

後ろを振り返りチェ・ヨンを
睨み付けながら声を張り上げるが
イ・ジュンホは牢番に両脇を抱えられ
別の牢に連れて行かれた

「大護軍・・」

「徳成府院君がおらぬいまでも
あいつはこの高麗に返り咲く事を
望んでおるようだな」

チェ・ヨンは宙を見つめながら
呟き、チュンソクと共に牢を後にした


「戻りました」

「お帰りなさい」

ウンスはチェ・ヨンに駆け寄り
首に腕を回し抱きついた

「ふぅ・・イムジャどうしたのです
寂しかったのですか、ん?」

こくこくと頷くウンスを
優しく抱きしめる

「さあ・・イムジャこちらへ」

そう言うとチェ・ヨンは
ウンスの手をとり寝台の脇に座らせ
抱きしめながら呟く

「徳興君様がいまだ、虎視眈々と玉座と
イムジャを狙っておる、ゆえに開京に
戻るまで、一人で出歩く事は慎んで
下され」

そう優しくウンスを諭すと
優しい眼差しを向ける

「あいつ今度会ったら
殴ってやるんだから、私達をあんなに
苦しめといて」

「はぁ・・・イムジャ
彼奴は毒を操る近づくなど成りませぬ
わかってくだされ」

「わかってる、ちょっぴり
腹が立っただげよ」

チェ・ヨンもウンスの額に唇をあて
ちゅっと音を立てながら胸に抱きしめる

「ここは私の定位置にしてね、誰も
凭れさせないでね・・ふふふ」

「言うまでもない、俺がイムジャ以外
この胸に抱くなどあり得ぬ」

「嬉しい・・・」

ウンスは瞳を輝かせチェ・ヨンを
見上げる
チェ・ヨンもまたウンスの瞳を見つめ
改めて心に誓っていた

『開京に着くまでは己の欲は封印し
ウンスを全身全霊掛けて護ると』



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