サザエさんの素直な落ち(27)

お蕎麦屋さんのお兄さんは、忙しすぎて変わったものを出前しました。

朝日文庫版24巻〔138頁〕・昭和37年
『サザエさんの家に、お蕎麦屋さんのお兄さんが、お盆にザルソバの一揃いを乗せて出前しています。お兄さんは、「すみません。おそくなっちゃって」と威勢よく言いながら、勝手口のドアを開いて入っていきました』
『家の中では、サザエさんが待っていました。お兄さんは、お盆を置くと、「なにしろこんでるもんで!」と申し訳なさそうな顔をして、言い訳をしました。サザエさんは、文句も言わずニッコリしています』
『お兄さんは、配達を済ませ、サザエさん家の門の前に止めていた自転車に乗ろうとしています。そこへサザエさんが、ザルソバが入っていた器を持って大きな声で何かを言いながら飛び出して来ました。自転車のサドルに跨りかけてお兄さんは振りむいています』
『サザエさんが、持ってきた器の上下を引きのばすと、それはきそばと書いた蛇腹の提灯でした。お兄さんは、頭をかいてシマッタと言う顔をしています』

出前が相当に込んでいたのですね!出前のお盆に乗せたザルソバを入れた器と蛇腹の提灯では重さに大きな差があるでしょう。
それでも間違えるお兄さんは、忙しすぎて相当に参っていたと、思いやるしか仕方ありません。
出前で運ぶザルソバは、図1のとおりで、その中のザルソバの器が、図2の蛇腹の提灯だったというのです。
こんなことはありえなと思いますが、それがあったと思うと面白い落ちでした。
図1

図2