恵里と響子と久美子の三人は、第一外科の助教授谷岡のもと研修が始まった。

谷岡は、言った。

「最初に、第一外科でのルールを言っておく。

このルールを、破った場合君達の将来は終わる。

これを念頭において聞いてくれ。」

三人の表情を、見ながら言った。

「二人の重傷患者が、運ばれてきた場合、病院にとって有益な存在になる患者の方を優先すること。
上の指示は、何があろうと絶対だ。

どんなに気に入らないことでもだ。

もし、一方の患者が亡くなった場合、口裏合わせをしてもらう。

医療ミスが、万一起こった時も同様だ。

それを必ず守れ。それが君達のためだ。

あと今の話しを聞いた以上、後戻りはできん。」

三人には、三人の指導医がついた。

恵里の指導医が、日下・響子が佐山・久美子が谷岡の三人がついた。

日下は、恵里に言った。

「小野田教授直々の命令だ。

君には、助手としてではなく君に手術をしてもらう。

今日は、君の腕を見るために私がつく。

一人でも多くの患者を救うには、俺と君が分かれて手術した方がより多くの患者を救うことができるからな。」

そして、五人の患者を恵里は救った。

響子も、五人救った。

久美子は、谷岡の助手としてオペに参加した。

一週間問題なく進み、恵里と響子は小野田に呼び出された。

「君達には、救命に二日間・外科に二日間・癌病棟に二日間行ってもらうよ。そして、救命をうちの主役に将来的にするつもりだ。そのことをふまえて救命に行け。」

恵里達は、救命に行った。
神山が、笑顔で迎えてくれた。

「ずいぶんとハードスケジュールを言われたもんだな。

だが、大歓迎だ。

君達のことは、谷岡助教授や国谷から聞いてるからなおのことだな。」

「国谷先生を、知っておられるんですか?」

「大学の後輩だ。」

恵里達は、驚いた。

神山は言った。

「君達に言っておく。

この救命も、あの小野田のルール通りやらなきゃ潰される、それを覚えておいてくれ。」

そして、救命でのオペが始まった。

神山は、天才だった。

恵里と響子は、助手として神山の手術を見た。

本当に凄かった。

神山の方も驚いた。

自分の、手術のスピードに看護大学の生徒がちゃんとついてきてくれるため、患者の手術だけに集中できるからだ。

本来の腕を、この二人がいてくれるため、出すことができたため、いつも以上に患者を受け入れることができた。

癌病棟では、外科と内科が協力しあって癌患者の治療を行った。

内科の権威が、外科なのに親身になって内科と外科の協力体制の重要性と内科的治療の研究、そして外科手術の新たな技術の研究それが何よりも重要であるため谷岡助教授と内科の権威の二人は、率先してこの取り組みをしているのだった。

小野田は、利用できる人間は利用する主義なので好きにさせていたのだ。

そして恵里達は、ついに悪夢の経験をすることになった。

神山が、学会に行っている時に政界の大物の息子というだけで、そっちを優先して治療し、もう一方の患者が亡くなってしまった。

だかこの時は、口裏合わせというよりは、ありのままを言った感じになった。

何故なら、容態は助けた方が重かったので、つまり治療の順番は正しかったのだ。

つまり、待っている間に急変してしまった不可抗力なことということである。

こういうことは、まれにこういう事態は存在するのだ。

だが、救った患者が政治家の息子であるために遺族は、政治家の息子だからという理由でそっちを優先したのではないかということで遺族は納得しなかったのだ。

裁判沙汰になるところだったのだが、小野田はこれを揉み消した。

神山が、帰ってきて、恵里は神山に聞いた。

「先生、こっちには今回何の非もないのにどうして揉み消す必要があるんですか?

これじゃあこっちに、非があるみたいじゃないですか?」

神山は言った。

「その通りだ。

だが裁判沙汰になったというだけで、病院のイメージを落とすかもしれない。

だから小野田は、潰したんだ。

一%でも確率が有る限り、こっちが正しくても小野田は潰すだろう。」

神山は、拳を握りしめて言った。

神山にそう言われると何も言えなかった。

小野田への怒りがまたしても増した。

そんな時、佐山に恵里は呼び出された。

腹部に、いきなり殴られ気を失いそうになった時佐山は、語り出した。

「お前に言っておく。

お前は、暴行犯が西田だと思っていたようだが実は私なのだよ。

お前と国谷が、暴行犯人として西田を追放したと聞いた時は笑っちまったよ。

確かに西田も昔は、暴行をして小野田に揉み消しをしてもらったようだがな。

お前が、西田を追放した時はスットしたよ。

小野田の息のかかった奴は、殺してやりたくなるからな。

俺の弟も、小野田のせいで死んだ。

だから俺は、決めたのさ。
小野田が、不正をした時に事件を起こすことにしたのさ。

今回のターゲットは、お前だ。」

クロロホルムで、恵里を佐山が眠らせた。

恵里が、目を覚ました時、佐山の死体があった。

そして恵里は、ナイフを持たされていた。

そして恵里は、身ぐるみはがされている状態だった。

そこに、警察が入ってきて恵里はその場で逮捕された。