三日間の研修を、終えて橘は言った。

「レポートは、ありのままに書いてくれて構わない。

それと、医療に対する疑問も含めてな。

私は、初日は医療の現場とはどういうものなのかをわからせるために、あえてたくさんの患者を入れさせた。

二日目は、この病院の普通通り入れさせ、三日目は、たくさん入れさせたんだ。

君達に、医療の怖さを理解してもらおうと思ってな。

君達に言っておく。

看護婦として、働きたいなら迷わず外科以外のところを選ぶことだ。

外科に、行くつもりなら医者になることを勧めるよ。

そして、より多くの患者を救うんだ。」

橘にとって、長年医者をやってきた中での結論であった。

恵里は、悩みに悩みながらありのままにレポートを書いた。

新井は、恵里を呼び出した。

「レポート読ませてもらったよ。恵里、君に聞きたい。君は、これからどうする?」

「私は、最初から内科で看護婦をすると決めてますので問題はありません。」

「内科か。それなら君に勉強してもらいたいことがある。

内科に、将来君が行ったとき、君に成してほしいことがある。

今日は、私の家に来なさい。

内科で君が成すべき、膨大な資料を渡そう。」

そう言うと、新井は恵里を連れて早速向かった。

膨大な資料の山を、恵里に渡した。

「君には、これから内科の膨大の資料を元に勉強し、内科の権威の医者の元で研修に行ってもらうよ。」

「教授、どうして私にそこまでしていただけるんですか?」

新井は言った。

「君には、素晴らしい資質がある。

君の患者に対する気持ちを、内科でより生かして大きく活躍してほしいのだ。

そのために、あらゆる知識をもっておいてもらいたいとそういうわけさ。

これからの医学の発展のためにもだ。」

「これからの君の研修先として、まず君にはアメリカに美紀とともに行ってもらう。

そして、内科の成すべきことを見極めなさい。」

新井は、こう言って二人をアメリカに送り出したのだった。