桜子は、「今度こそ私自身の演奏会を成功させてみせる。」と有森家の家族達に言った。

冬吾は、言った。

「そりゃいいな。ようやく桜ちゃんの夢が、実現するんだな。」

桜子は笑顔で「うん。」とうなずいた。

その日は、家族で楽しんだ。

冬吾と二人きりで話せる時間がきた。

冬吾は、「俺は東京に行って改めて絵に向かい合うことにしたよ。本格的に亨に西園寺先生のピアノを習わすことに決めたよ。それも桜ちゃんの次に向かう決心を見て思ったんだ。亨には、桜ちゃんのように人の心をうつピアノを弾いてほしいってな。」

桜子は、「あれだけピアノが好きで才能のある亨ちゃんならできるよ。

ようやく冬吾さんも逃げるのやめたみたいだね。」

「いつまでも逃げてるわけにはいかねぇからな。桜ちゃん、東京で秋山さんに会ってきたか?」

「うん。会ってきたよ。」
そう言った後、東京での出来事を話した。

そして、言った。

「私ね。また秋山さんの申し出断ったんだ。

確かにあのピアニストの演奏には心はないけど音楽を楽しむということを知れば、人の心をうつピアニストになると思うよって私は秋山さんに言ったんだ。」

冬吾は、「んだ。」とうなずいた。

そして、冬吾は東京に戻り、桜子は毎日のようにピアノの練習をした。

冬吾は、自分のポリシーに従って仕事をすることで最高の絵を描いた。

そして、亨は西園寺先生の指導の下ピアノを本格的に習い始めた。

西園寺は亨の才能に驚きを隠せなかった。

桜子に電話で、「君の甥っ子は、本当に素晴らしいですね。君が、私のところに来たときのことを思い出しましたよ。」

と電話で大絶賛していたのだ。

「久しぶりのピアノの練習は、いかがですか?」

桜子は、「はい。順調です。それに先生、家の味噌が本物の味に戻ったんです。だから今、良いことづくし何です。」と言った。

西園寺は 「そうですか。それは本当に良かったですね。桜子君、頑張って下さい。」

「はい。先生。」と満面の笑顔で桜子は答えた。

電話終えた後、桜子は輝一をだっこしながら生きてることの幸せを噛みしめていた。

と同時にかねが生きていたらどれだけ喜ぶだろうと考えていたところに

仙吉と野木山がやってきて「ようやく長い冬から脱出しましたね。それも全て女将さんのあの時の判断のおかげです。」

桜子は、「皆でどんな辛い時にも力を合わせて頑張ったからだよ。

私は、生きてこの日を迎えられたことが本当に嬉しいよ。お母さんが、生きてたらどれだけ喜ぶことか考えちゃうね。」

二人そろって「本当にそうですね。私達も女将さんが、助かって本当に良かったです。」

「ありがとう。」桜子は言った。