達彦の言葉に桜子は

「それなら私も行くよ。散々心配かけちゃったから西園寺先生に元気になった姿を見せたいしね。」

二人は、次の日西園寺先生のもとに向かった。

西園寺先生は、泣きながら桜子の病気が治ったことを祝福してくれた。

そして、そこには偶然にも命の恩人秋山の姿があった。

「そうか。桜ちゃん、元気になったか。本当に良かった。実は今、先生と桜ちゃんの曲を大規模な演奏会で演奏しようという話になったんだ。」

「本当ですか?」
「そう思ったけど、桜ちゃんが元気になったのなら夫婦で連弾してみるっていうのはどうだ?」

西園寺は言った。

「その方がいいかもしれませんね。それに作曲した本人が弾いた方が、人の心をうちます。桜子君、ぜひやってみて下さい。」

二人は、自分達から頼むはずが逆に頼まれてしまったため驚いて何も言えなかったが桜子は

「わかりました。実は私達先生に頼みにくるところだったんです。先生と秋山さんには、お礼の言葉もありません。」

演奏会は3ヶ月後に決まった。

秋山は今日、「バンドの演奏会があるんだ。二人共聴いてってくれ。」

秋山に連れられ、秋山のジャズバンドを聴くことになった。

しかし、秋山のバンドにいるピアニストはピアノの腕はあるものの、音楽を楽しんでるようには見えなかった。

桜子は、聴いてて心が痛んだ。

それと同時に、秋山が聴いてってくれと言った真意を理解することができた。

演奏が終わった後、秋山や昔一緒に演奏会をやった仲間たちがやってきた

「よう。久しぶり!」

昔の仲間たちは、笑顔で桜子との再会を喜んだ。

昔の仲間たちは、やはりピアニストの話をした。

「腕はあるんだが、あいつのピアノは機械そのものだ。」

と皆嘆いていた。

秋山は、言った

「桜ちゃん、一週間に一回・もしくは一ヶ月に一回でも構わない、三ヶ月後の演奏会が終わったら俺達のバンドにもう一度入ってほしい。」

すなわち、桜子は自分自身の曲の演奏をやれた上にジャズピアニストとして動くこともできるようになることを意味していた。