今は昔、昭和初期に調子のいい政治家がいた。
その男は松岡洋右（ようすけ）といい、明治法律学校（現在の明治大学）に進み東大を目指していたがなぜか諦めた。
近衛文麿内閣で外相に任命された。
昭和15年9月、三国同盟が調印され、その時これにロシアを加え四国同盟（あるいは四国協調）を企んだ。
そこでロシアのスターリンに近づいた。
↓昭和16年春、スターリンと腕を組む松岡洋右外相。

『♪スターリンスターリン、きっと世界はつかめるよ、幸せの意味に気づいていく、あなたとならば世界を変えられる、今すぐ手を出して、マイスウィートスウィートスターリン♪』なんて唄いながらスターリンを誘惑、マンマと日ソ中立条約の調印をした。
このときにはドイツとソ連の関係が悪くなっており、同盟や協調は無理、そこで松岡洋右は中立条約を勝ち取った（つもり）だった。
↓スターリンと会う前には松岡洋右はドイツのヒトラーともこの有り様。

松岡洋右はうまく二股をかけたつもりだった。
ところが、スターリンと調印した時点でスターリンは気づいていたのだった。このオッサンのハニートラップに乗ってやれば、日本は南進して米英と衝突するのではないか（ニヤリ）と計算していた、そこで調印式では派手に喜び、乾杯を繰り返し、ご満悦の表情をした。
マンマと2人を手玉にとったつもりの松岡洋右は『次はワシントンでルーズベルト大統領を・・・』と考えていたのだが、近衛文麿首相はこの間に日米関係が冷えてきており、松岡洋右には内緒で野村吉三郎にN工作を着手させていた。
松岡洋右の敵は日本にあり・・・だったわけだ。
モスクワの帰り道、大連で1泊していた松岡洋右のもとに近衛文麿首相から電話が来た。「重要案件が米国政府から来たから、至急帰国してもらいたい」というものだった。
松岡洋右は「我が事成れり」とほくそ笑み、『さあ、ワシントンに飛ぶぞ』と傍にいた加瀬俊一（初代国連大使）に言った。
帰国してみたら、松岡洋右を待っていたのは全く予期に反するN工作によってでっち上げられた偽物の『諒解案』、首相と軍部はこの『諒解案』を信用し、疑惑を示す松岡洋右を追放（一旦、内閣総辞職して松岡洋右外相を外して組閣）した。
松岡洋右はこれで失脚。『♪さくら、ひらひら舞い降りて落ちて・・・春に夢見しあの日々は、空に消えていくよ』となったのであった。
なお、松岡洋右は失脚したから逆にその後助かったんじゃないか？と思うかもしれないが、終戦後、巣鴨プリズンに投獄され、裁判では無罪を主張したが体調が悪化、東大病院への入院が許されたが東大病院で死んでしまった。
死ぬときになって漸く、学生時代に諦めた東大（病院ではあるが）に入れたわけだ。
めでたし。
あちこちと握手する『人たらし』は今の明治大学の人の特徴そのもの、しかし失敗するあたりは選挙区が山口2区だったそうで、やっぱり山口の人か・・・って感じだな？
私腹を肥やすことばかりに長けている今の山口選出の腹下しよりはマシかな？笑

気まぐれロマンチック