to:ひろ
title:no
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お疲れー
今日もバイト御苦労さま
明日の事覚えてる?
月がきれいですね。
『月がきれいですね。』
お風呂上がり、明日のひろとの約束の確認メールを送る。
ふと目にした窓の外、カーテンの隙間からきれいに光る月をみた。
カーテンをよけて窓を開けると煌煌と輝く月明かりに照らされた。
そんな日は、いつものメールに一言添える。(メールが簡素?これが常です)
月がきれいですね。
いつものメールと違って敬語、それから句点をつける。
一つの文として他とはわかりやすいように区別する。
私から君に送る秘密の言葉。
程なくしてメールが返ってきた。
from:ひろ
title:Re:
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おーおつかれー
もちろん覚えてる!
でもへーとが忘れてて危うく車借りれ
なくなるとこだった(-_-)
でも何とか車確保した!
おぉ、またしても気付かなかった
明日はへーとから車を借りてひろとドライブに行く予定だ。
(なんともあっほなへーとは何度も言ってたにも関わらず忘れやがっていたとは…)
(むしろわざと私とひろとの邪魔がしたいだけとしか思えない)
予定を覚えてくれてて安心した。
だけどまたしても秘密の言葉に対しての思うような答えはしてくれなかった。
結構何度も送っている言葉。
ひろはあまり月を見上げたりはしないみたいで月の事すら気付かない。
その隠れた意味には気づかなくても良いからせめて光り輝く月には気づいてほしい。
そして、言って欲しい。返してほしい。
また駄目だったかと残念に思いながら、窓の外の月をみた。
私は小さい頃から日中はしたばかり向いて歩くのに、夜になると上ばかり見て歩いていた。
夜になると真っ暗な空の中にきらきらと輝く星や、月が出てくる。
そればかり見上げていた。吸い込まれるような夜空に浮かぶ星々が大好きなのだ。
だからこの言葉を知った時、すごく胸がときめいた。
手の中の携帯が震えた。
画面にはひろからの着信。
『おっす』
「おつかれ」
要件は明日の時間の事で何時に迎えに来てくれるか、という事だった。
うなずきながら目覚まし時計の時間を少し早めにセットした。
『あ、それと』
夜だからか、声がすっきりと真っ直ぐ届いた。
『月がきれいだな』
あぁ、言ってくれた。返してくれた。
私は小さく息をのんだ。
何度となく仕掛けた仕掛けがやっと成功した時は嬉しさよりも先に驚きがくるみたいだ。
どっと勢いよく流れ込んだ驚きから、ゆっくりとじわじわと湧き上がる嬉しさになっていく。
「うん、月がきれいだね」
なんで知ったかは記憶が曖昧なのだけれど、夏目漱石の話。
英語教師をしていた夏目漱石は「I LOVE YOU」の日本語訳を教える際に
「月がきれいですね」と訳したという話。
日本人的な感性を重視した夏目漱石らしい訳し方、らしい。
私は夏目漱石の本を読んではいなかったけれど、この話を聞いて彼が好きになってしまった。
昔から夜空ばかりを見上げ、星や月に想いを馳せていた私にとってこの言葉はロマンチックの塊。
月が愛の象徴のように思えた。
その意味を知らなくたっていい。
ありのまま、言葉そのままの意味で言ってくれていい。
君がその言葉をくれるなら、それで、もう。
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久々にやってしまいました
妄想話っ!
いやーん、妄想楽しい!妄想万歳!
その中に一昔前の常套句みたいなのつかっちゃいました
あっは!
いや、でも好きなんです、その言葉も、月も
『天地明察』今日読みはじめて天文の事もあるなとか
思いながら今日夜空を見ながら帰宅しながら
妄想を固めてみました
スジュが日本にきて、トゥギが素敵な言葉をくれた、まさきその時
私はいそいそと妄想に励んでましたよー、っと!
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『でも、月月って度々言うよな。なんかあるの?』
劇的に鈍いひろが珍しく何かに勘付いている様子だった。
折角言葉をくれたので私の仕掛けの種明かししても良いかなと思った。
紫苑と違ってあまり、というか全く本を読まないひろが気付く事は一生ないといっても過言ではない。
「んー、なんだろね」
『え?何それ』
でもまだ言わないでおくとしよう。
もう少しこの言葉を使わせていてほしい。
恥ずかしがり屋な君が言ってくれる魔法の言葉。
そして、素直になれない私が言える愛の言葉。
「本当に月がきれいだね」
私はあなたを愛してます。