ここでは私の難聴の取扱説明書を書きたいと思います。日常生活で聴覚に支障がない人には、その感覚がなかなかつかみにくいと思うからです。
私は軽度の難聴ですが、それは例えれば、海外でその土地の言語を話す人たちの中に入り、その言葉が音としては十分に聞こえていても、その発音が意味のある言葉として伝わらないことと似ているかもしれません。
まず似たような音の子音が厄介です。特に「きしち」や「くすつ」などです。また、イントネーションが同じ調子だと、例えば「きらう」と「ちがう」、「おきる」と「おひる」の区別がつきません。それでよく聞き返すことがあります。聞き返されてもどうか辛抱強くお付き合いいただけたら、ありがたいです。
どの方向から音が来ているのかも分かりずらいので、特に後ろから声をかけられると気づかないことがあります。そういう時は正面から声をかけていただくと助かります。
早口でまくしたてられると聞き取るのにかなり難儀します。そういう時はゆっくり話してもらえると聞き取りやすいです。が、はじめはゆっくりでもだんだん相手が早口になってくるのが難です。だいたいそうなってしまいます。
最近はスマホの翻訳機能で外国人との意思疎通が可能となってきました。音声を文字に変換してくれるアプリを使うと驚くほど正確に変換してくれて、音声の解像度が一気に高まります。ただ、話す人の滑舌が悪いと全然音を拾ってくれないので、やはり限界があります。
ただ、相手の話を懸命に聞き取ろうとするあまり、それが結果的に傾聴になるということがあります。なので、案外初めて会う人と打ち解け合うこともあったりします。
聴覚障害者を相手にどう接したらよいか、わからなくて戸惑う人も多いと思うので、障害者側もどうしてほしいかを積極的に発信した方が自分のためにも良いと思います。現に私が今勤めている会社に入社するときに、自分の取扱説明書を提示したところ、ずい分働きやすい環境を作ってくれました。例えば、今まで電話でのやり取りは大変なストレスでしたが、一切それは使用しなくても済むように配慮してくれました。
まだまだバリアフリーと胸を張って言える日本社会ではないと思いますが、だからこそ自分の置かれている状況と思うことを常に発信することが大切なのではないかと思います。