１９８７年（昭和６２年）３月２７日（金）　ローマ

　昨夜は日本食をたらふく食べ、ビールもいっぱい飲んで部屋に帰るとすぐに眠った。夜中の１２時ごろと朝方目が覚めたが、そのまま眠っていた。１２時間近く眠った。今日の観光はコロッセウムとフォロ・ロマーノぐらい。午前中はゆっくりしていた。

　ところが明日土曜日で銀行が閉まると分かり、手持ちのお金が気なってきた。イタリアリラがどのくらいいるかというと、それはパリまでの列車代による。概算してたまたまスペイン広場近くにあったAmexへ行った。

　どうせならと、私のAmexトラベラーズチェックを使いきり、ついでにボンベイ発行の日本円T/Cも使いきった。夫は逆に融資（T/Cを作ること）してもらい、お金がいろいろ出入りしてやや混乱気味。しっかり確かめて出た。

　しかし私たちの前にいたインド人はドルを現金化していたが、小額紙幣はだめだと言って１００ドル札に替えてもらっていたのがなつかしい。私たちは逆に１００ドル札を細かくしてもらった。これからはブラックもないし、細かく換金するには都合がいいから。

　換金だけで疲れてしまいそうだったが、頑張ってコロッセウムへ行く。ここも思ったより大きかった。次にフォロ・ロマーノへ。天気が良くなりとても気持ちがよかった。ここは遺跡だがよく手入れされ、白のヒナギクや黄色のタンポポが咲き乱れてかわいい。鳥も鳴いている。

　夫と二人日向ぼっこした。ウールのセーターがお陽様の光を吸ってぽかぽかになり、そのうち汗ばんできた。今度は日陰を歩く。周りはローマ時代の遺跡ばかりで規模も大きい。正門の方はシーザーやブルータス関連の遺跡があるらしいが、よく分からなかった。ルネッサンス期に比べたら、今一つ興味がないので。

　そのうちお腹が空いてきて、外へ出る。高級なレストランの横には野良猫がぞろぞろいた。また昨日のようにぼられないように、土地の人でにぎわう裏通りの奥にあるレストランを見つけた。でもここのおじさん、まともに計算せず２万リラと言った。あぁ、インド人みたいにいい加減だなぁ。
　それからうまくバスを見つけてテルミノ駅に行った。パリまでのチケットを買うためだ。特急料金を含めて払い、クシェットもすぐ取れた。やっぱりヨーロッパは移動が楽だ。ただ、窓口に寄ってくるジプシーを警戒した。というのも昨日、バチカン美術館からサンピエトロ大聖堂の方に歩いていた時、ジプシーの女の子が手に上に紙を置いて何か言い寄ってきた。おかしいなと思ったら、紙の下で私のポシェットに手を伸ばしていた。危ない、危ない！

　一旦部屋に戻ってシャワーを浴び、夫の誕生日お祝いに財布を買いに出た。革製品は安くていいのがいっぱいある。夕食はまた「にっぽん屋食堂」。夫がまた食べたいと言ったので。また予算オーバー。〈Hotel　Venier〉

コロッセウムからフォロ・ロマーノへ…白のヒナギクや黄色のタンポポが咲き乱れてかわいい