長尾和宏先生の詩

『親が老いていくということ』

(ご存知の方もいらっしゃると思います)


を、あるつうしん誌で知りました。

初めてこの詩を知り

心に染み涙がでます…



親が老いていくということ

それは何度も同じ話をするということ

何度も同じことを訊いては 

あなたを苛々させるということ


親が老いていくということ

それは自信がなくなるということ

自信がなくなるけど、子供にだけは強がっていたいということ


親が老いていくということ

それは歩くのが遅くなるということ

膝や腰が常に痛いということ

低気圧がくるだけで動くのがしんどい日があるということ


親が老いていくということ

それは食べる量が減るということ

噛む力が弱まるということ

でも食べたいものを食べさせるのが

一番の健康法であること


親が老いていくということ

それは、

もう生きているのは嫌 

早く死にたいと言い出すということ

だけどあなたには迷惑かけたくない気持ちと裏腹かもしれないこと


親が老いていくということ

それはトイレが近くなること

夜中にトイレで起きるということ

尿道も肛門もゆるむから

ふとした時に漏らすということ


親が老いていくということ

それは歩行や食事が遅くなったり

トイレに失敗した時でも

子供にだけは怒鳴られたくない

怒られたくないということ


親が老いていくということ

それは言葉が咄嗟に出なくなってくるということ

言葉が出なくなっても、心の中に想いは

ちゃんとあるということ


親が老いていくということ

それは周囲の友人や愛している人や

犬や猫が徐々にこの世からいなくなって

どんどん不安になるということ


親が老いていくということ

それは不安である分

あなたのことが気がかりだということ

あなたの電話を待っているということ

声が聴きたいと願うこと


親が老いていくということ

それは萎んでいくこと

小さくなっていくこと

小さくなって軽くなって

それでもあなたの親であるということ


親が老いていくということ

それはお別れの日が少しずつ近づいてきているということ

親がどんな別れを望んでいるか察してあげること


親が老いていくということ

それはうとうとする日が多くなってくるということ

この世とあの世の境目が少しずつ曖昧になってくるということ


親が老いていくということ

それは命の仕舞い方をあなたに教えてくれているということ

あなたもいつかこうなるのだと

それは最後のプレゼント


※※※※


ややこしい性格な母も

しんどいようで

横になっている事がふえました…