東京で働いていた。
昼間のお給料だけじゃ食べていけないので、夜もバイトをしていた。
学生時代にしていたバイトを辞めずに、そのまま働いていたこともあったし、いろいろなバイトもした。
楽しかった。一日十五時間は働いていたと思う。
その時出会った人たちはみんな魅力的で、たくさんのことを教えてもらった。
音楽や、デニムの知識。海外の文化。旅をする方法。今も役立っています。
時間に余裕はなかったが、自宅アパートの近くに古本屋があり、いつも通勤かばんには文庫本が入っていた。
地下鉄に乗ると、音楽を聴きながら文庫を読んだ。
時間に余裕はなかったけど、本を読む時間はあった。心の余裕はあったんだと思う。
ストレスいっぱいの仕事だったけど、その分同僚との仲は良かった。
泣いたり笑ったり、たくさんの時間を共有した。
今はそんなに読めていない。
先日、「ウドウロク」を読んだ。NHKアナウンサーだった私の大好きな女性。
東京で暮らした時間を思い出した。
転んで泣いて、つまずいて乗り越えて。
今は母になり、仕事ももち、妻としてもたくさんの雑事にと悩みに追われている。
有働さんも悩み苦しみ、それを笑いに無理やり昇華させていて共感した。
勇気づけられた。
女性はどんな生き方をしても、男性より悩みが多いような気がする。
もちろん男性も大変苦労されていることも、職場でも家庭でも見ている。
ことに子供ということに対しては女性しか出産できないという事実がある。
私は、産むことを選びまったく後悔はしていない。最高の宝物をもらったと思う。
もちろん私は、有働さんのように、たぐいまれない才能と、人一倍どころか十倍の根性は持ち合わせていない。
でも、「ウドウロク」を読んだ今夜、私たち働く女性たちのジャンヌダルクに感動した。
泣き言を言う前に、文庫本を手に感受性ぐらいは自分で保っていようと思う。
有働姉さん、大ファンです。働く女性としてそのチームに補欠でいいので入部させてください。