狭い敷地にいつ植えたか定かでない枇杷の木が年々大きくなっていました。
種を植えてから10年は経っているはずです。
枇杷の葉は、大きく硬く色も濃い緑で決して観賞用ではありません。
そして、大量に大きな枯れ葉を落とします。
枯れて落ちても、こげ茶色に変色するだけでガサガサと音のする硬いままの葉です。
あまり好きになれず、見上げる度にいつ切ろうかと思っていました。
今年こそ切るつもりでいました。
しかし、今年初めて花を咲かせました。
世話をしたこともなく、愛情をかけたこともない枇杷の木が…
今収穫を迎えています。
買ってきた枇杷を食べ、立派な種を見てなんとなく植えた人は、もういません。
実が生ると信じていたのかどうか…
こんなにもうれしい初めての収穫を知りません。
大きな硬い葉は、やっぱり嫌いです。
でも、産毛に包まれたふっくらと膨らんだびわの実は、とても美しく優しい色をしています。
私の嫌いな葉が、この愛らしい実を育ててくれていたのです。
枇杷の木、今までごめんなさい…
すばらしい贈り物をありがとう