人間とは儚い動物である。
たった一度きりの失敗や間違いで、一生外に出られなくなる。
本当の自分を見失う。
彼女もその一人。
彼女はただ静かに暮らしたいだけだった。
彼女はもう本当の自分はあの時殺した。
そして誓ったのだ。
もう二度と人に深入りはしない。
したって惨めなだけ。
どうせすぐに去ってゆく。
そんなことなら最初から関わらない方がいい。
ドアにカギを掛け、チェーンロックまでした。
彼女はチェーンロックの番号さえ忘れてしまった。
彼女自身も開け方がわからなくなった。
もう中に入ることも、外に出るのも出来ない。
狭い場所に、彼女だけの世界。
煩わしい柵や、人間関係を一切断ち切り、自分だけの世界。
他の人がなんと表現しようが全く彼女には聞こえない。
どんなにドアの向こうで叫んでも彼女にはもう届かない。