りょうは雪穂の為に、犯罪を重ね、死体と犯り、人を殺す。


雪穂が好きになった男が好きな女を犯す。雪穂の為に


最後に、ずっと追っていた刑事の笹垣がりょうにこう言う。


お前には子供がいる。子供にお前と同じ道を歩かせんのか。父親を信じられない子作るつもりか。


罪を償い、堂々と十三階段昇る背中見せい。


おれが言うたる。間違いだらけやったけど、お前が一人の大切な人の為にどれだけの事をしてきたのか、どれだけ、血と涙を流してきたのかを。お前にはそういう血が流れとる。俺がずっと見てきたから、俺がお前のやってきたこと、見てきたから。


お前の子供にいうたる。おまえの父さんは立派な父親だったと。


すまんかったのう。あの日お前を捕まえてやれんで、すまなかったのう。


りょうはこの後、笹垣が持ってたハサミで自分を刺して、こういう。


あいつは俺の太陽だから。


そして歩道橋から飛び降り、雪穂の元に命尽きる寸前で会いに行く。


お前だけは幸せになれ。そう願って死んでいく。


日の当たらない世界で、たった一人を思い、たった一人の為に全てを失い、たった一人の幸せだけを考える人生って何なんだろ?


惨めで残酷で汚れた人生を歩んで、りょうは幸せだったのだろうか?


俺はりょうが羨ましい。そんなにまでして人を愛し、信じて、その死を心から悲しんでくれた人がいたということ。


なあ雪穂。幸せって何だろうな?お金を持って、好きな事をし、旅行したり、買い物したりする事なのかな?


俺の幸せは、お前の幸せを願って、汚い、惨めな、ドブのような道をさ迷い歩き、血と涙を流しながら、棘の道を歩く事だったんだ。


お前の幸せを願うだけで、涙が溢れ、お前の幸せを願うだけで1日が過ぎてく。


そんな人生を歩めて俺は本当に幸せだった。ありがとう


お前が幸せになる為に俺は生まれ、お前が幸せになる為におまえと出会い、お前が幸せになる為に俺はいなくなる。


だから絶対に幸せになれ。俺は、俺は、ただそれだけだからさ


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