お待たせいたしました。
今回のドラマは3つの密室で事件が起きていますので、
ひとつずつ分けて、解説していきます。
そしてひとつひとつの密室は、不思議と繋がっているのです。
では、
今回は1つ目の密室事件
『密室活人事件(連続掃除魔事件)』の解説をします。
密室…活人。掃除魔…。
なんとも面白く、とても悪い響きには聞こえない
事件なのですが…
これがキッカケで榎本は2つ目、3つ目の密室事件を
解決していくことになる重要なスタートとなる事件です。
まず密室活人事件とは、
とあるマンションの一室で起きた
人命救助の事件です。
話を持ち掛けてきたのはマンションに住む老人・朝妻ですが、
彼の話によると、窓もドアも鍵を掛けた密室状態で
心臓発作を起こし、危なかったところを誰かが侵入してきて助けてくれたらしく…。
その恩人を探してほしいという依頼を青砥が受けることになりました。
その際、マンションの管理人・小檜山も一緒に居たのですが、
まずはこの二人の関係性をチェックしておきます。
マンション管理人の小檜山は老人が多く住んでいるため、
自ら進んで老人の部屋を訪れては、よく手伝いをしてくれる管理人なのです。
そのため朝妻は、小檜山をよく部屋に入れては手伝ってもらってるとのこと…。
小檜山が手助けのために部屋を訪れる。
これは重要なポイントです。
応急処置をし、119番通報までするとすぐに部屋を出ていった
密室の中で何者かが活躍した"密室活人事件"について
青砥はもちろん、この件に関してマンションの住人の聞き込み調査を行いますが、
情報も乏しく、行き詰まってしまいます。
しかし、そんな状況が打破され、
急展開を迎えたのは
榎本の登場でした。
彼は小檜山の新しい防犯カメラの設置依頼で
青砥と同じマンション、フロアに姿を現したのです。
榎本の登場で、
密室活人事件が、最近多発していた"連続掃除魔事件"との
関連性があることすら見抜き、どんどん密室解明に迫っていきます。
ちなみに、
連続掃除魔事件というのは
住人が外出先から帰って来た時に、
部屋の中がとても綺麗になっていることから、
誰かの手によって掃除された…つまり掃除魔と呼ばれている事件です。
どちらにも共通しているのは不法侵入。
空き巣等の経験があるのでしょう。
心臓発作で倒れていた朝妻を目撃した
その誰かが朝妻の命を助けた…という関連性を見抜いています。
しかし、そう簡単に部屋に侵入できるわけではありません。
なぜなら、窓にも玄関にも鍵がかけられ、
さらに玄関には補助錠まで付いているからです。
この補助錠については、なかなか開錠することは出来ません。
なのに犯人は何故、そんな部屋に侵入することが出来たのでしょうか。
榎本が解明のための決定的な材料に気付きました。
それは補助錠の異変です。
榎本はストライクのネジが緩み、デッドボルトに傷があったことに気付きました。
これは補助錠が何者かによって扱われた証拠です。
(※デッドボルト=ドアに取り付けられたストライクの穴に差し込む突起。
ストライク=ドア枠に取り付けられたデッドボルトを差し込む穴。)
そしてデッドボルトの傷は、無理矢理ドアを開けようとしない限り
なかなか出来るものでもありません。
しかし、無理矢理ドアを開けようとするだけで、
簡単に補助錠は壊れるものでしょうか。
これにはもう一つの細工があります。
それは、ネジの緩みです。
意図的でなければ決して緩むことはないネジ、
それが緩んでいるということは、
このネジは一度、外されたということです。
ネジが外されたということから分かること、
ネジを外したからこそ、侵入できるようにしたということです。
ただ、ネジを外すだけでは、ストライク自体が無くなるということなので、
住人は気付くはずです。
そこで両面テープか何かでストライクは付けておき、
両面テープ程度の力なら、
無理矢理ドアを開けようとすれば、力づくで開けることが出来ます。
この時に出来る傷の証拠が、デッドボルトの傷です。
これで辻褄は合うのですが、
では部屋の内側についている補助錠に細工をするなんて、
誰が出来るのでしょうか。
配達員でもなければ、人の出入りが少ない朝妻の部屋…
しかし唯一麻妻の部屋に入るのは、手伝いをしにやって来る
小檜山しかいません。
小檜山は、心臓発作で倒れる朝妻を目撃する前に
テレビの交換設置作業で、朝妻の部屋を訪れています。
このタイミングでしか、細工をする機会はありません。
榎本の読み通り、
やはり犯人は小檜山でした。
小檜山は自分が空き巣であることを明かします。
ただ、この小檜山…
本当にタイミングが良いというか…
もともと密室活人事件なんて起きるはず無かったので、
小檜山もいつもの掃除魔事件のように侵入したのだと思います。
しかしそこで、タイミングよく心臓発作に倒れた朝妻と出くわすのですから。
このタイミングの良さは、他にもあります。
それは"殺害された藤林"とも出くわしていたことです。
小檜山はいつもの容量で藤林の家に侵入したのでしょうが、
小檜山が見たのは血を流して倒れている藤林。
慌てて、手袋を取って藤林の脈を確認し、
爪があまいことに、そのままの手で近くに落ちていたゴルフクラブを触っています。
ハッとなってゴルフクラブの指紋は手袋で拭いて消し去り、
もともとゴルフクラブに付着していた指紋まで拭き取ってしまった上に、
藤林を触った箇所の指紋は拭いてないとのこと。
なんともおっちょこちょいですね。
話は遡りますが、
空き巣でもある小檜山が
連続掃除魔事件、密室活人事件の犯人だったとして、
何故そんな小檜山がわざわざ自分の首を絞めるかのように
マンションセキュリティの強化を依頼していたのでしょうか?
実は、
小檜山は空き巣と自白はしましたが、
物取りのためにマンションの部屋に侵入しようとしたわけではなかったのです。
部屋に侵入した目的というのは、老人の手伝いや何かしらで残してきている
自分の指紋を綺麗に拭き取るためだったのです。
これが連続掃除魔事件の真相です。
万が一、空き巣被害にあった場合、警察の指紋採取により
警察のデータベース照合による指紋一致の可能性を恐れ、
自分の指紋が分からないようにするための準備だったのです。
更には、空き巣被害自体を起こさないためのセキュリティ強化、だったわけです。
空き巣が空き巣被害を避けるためにセキュリティ強化…
面白い話ですが、全ては藤林の遺体発見から始まりました。
小檜山は、何に対しての指紋一致を恐れているのか…
それは、殺された藤林を触った時に付けてきた指紋です。
藤林を殺した真犯人を探して、
自分が殺人を犯していないことを証明してほしいと
青砥に頼み込みます。
そして青砥は、榎本と一緒にその事件の真相を探るために
2つ目の密室事件に挑むことになりました。
この2つ目の密室事件(藤林殺害事件)、
芹沢が関わって動いていた事件なのです。
チーム榎本、入口は違いますが、
同じ密室事件に辿り着きました。
次は、
芹沢視点にも触れながら
2つ目の密室事件のトリック解説を行っていきます。
meisa.