2020年10月に父が他界しました。

尿管がんで闘病中でしたが、最期、直接的な死因は誤嚥性肺炎でした。

ギリギリまで自宅で過ごし、自力でトイレから立ち上がれなくなった日にかかりつけの病院に入院し、２週間足らずで息を引き取りました。

入院の日、私は仕事に出ており、すぐに父からのSOSに対処できなかったことが悔やまれます。同じ市内に住んでいる父の姪2人が代わりに病院に連れて行ってくれて本当に助かりました。

コロナ第２波の影響で、入院中全く面会ができず、食べたいとリクエストしてくれたガリガリ君やアイスの実などを届けるだけの日々。

自宅では毎日、ひどいむくみのある両足をマッサージしてあげてたので、それができないことがすごく悲しく・申し訳なかった。

一人にして、ごめんね・・・。今も、してあげられなかったことばかり思い出して、泣けてきます。

面会が思うようにできないため、家に一人いても落ち込んでいくだけなので、修羅場みたいな職場に毎日出勤していました。仕事が終わったら入院先に寄って帰宅する。

たった10日かそこらですが、体力・気力的にやっぱりしんどかった。

介護休暇をもっと早く取ればよかったという思いと、それはそれで精神的にきつかったろうなという感覚もあり。どっちに転んでても、弱っていく家族を看る、というのは辛さが半端ないものです。

肺炎がわかり、そこから本当に坂道を転げ落ちるように状態が悪化。

それでも、コロナ対策で面会は許されませんでした。

最期の日の前日にようやく面会許可が下りることになったので、仕事が終わったら面会に行こうと思っていたその日、病院から連絡ありすぐに来てほしいと。

ちょうどその日は自分自身の治療日でキイトルーダ投与中だったので、終わり次第仕事を早退して病院に向かいました。

1週間ほど前から酸素が始まっていることは聞いていましたが、こんなにすぐに悪くなるなんて。到着するとすでに酸素流量はマスクでできるMAXまで上げられていましたが、まだ少し会話はできていました。先に到着していた姪2人が一生懸命両足のマッサージをしてくれていました。

父はアイスの実を食べたがっていましたが、誤嚥性肺炎のため食べさせるのは怖いという思いがあり、食べさせてあげられませんでした。これも後悔。舐めるだけでもいいから、口に含ませてあげればよかったな、と。

時間が経つごとに酸素化がどんどん悪くなり、目を開ける時間が減っていきました。

日が暮れて姪たちが帰り、病室に父と二人だけになりました。

コンビニでおにぎりとスフレチーズケーキかなんかを買って、ひと気がなくなった夜中の外来のベンチでひとり晩ご飯。

病室に戻って、足のマッサージをしたり耳元で沖縄民謡のYouTubeを流したりして、ずっとそばにいました。

23時頃、呼吸が浅く長くなってきました。

母の時と同じようにもう少しで下顎呼吸になっていくのかなと、凪のような心持で。

「ありがとう、愛してる、心配かけてごめんね」と何度も何度も声をかけながら、父の顔や手足をお絞りで拭いてあげることができました。

ちょうど足の指先を拭き終わって、父を振り返ると、呼吸が止まった瞬間でした。静かに眠るようにすーっと息を吐き切って。

父の姪や甥たちが駆けつけてくれて、みんなで自宅に連れて帰ったのが、深夜2時過ぎ。

もう、痛みや苦しみに満ちた肉体から解放され、魂だけになったことを何度も何度も話しかけながら（私に霊感はありません）、ちゃんといっしょにお家に帰るよう、声に出し心の中で強く父に話しかけながら帰宅しました。

母の時にお世話になった葬儀社さんに、こんなに早くまたお世話になるのは何とも不本意ですが、素早く対処してくれてありがたかったです。

ずっと、どんなにどんなに、やってもやってもきっと後悔するだろうな、と思っていましたがやっぱりそうですね。

やってあげられたことより、やってあげられなかったことばかりが悔やまれます。

こないだ、そのことをお世話になっている心療内科の先生にお話ししたところ、「でも、僕が親だったら、娘にしてもらったことはどんなことでもうれしいと思うよ。男親ってそういうもんじゃないかな」と言っていただけて、少し救われました。

今でもまだまだ、フラッシュバックして落ち込みますが、こうやって日記を書いたりかけていただいた言葉を思い出したり、眠剤の力を借りたりして、何とかやり過ごしています。