これを話すきっかけにしないテはない。
私は彼がいない間に、社員証の再発行について調べて彼に伝えることにした。
きっとこれでまた話せる。
ひとつきっかけができれば
きっともう普通に話せる。
私は社内で閲覧できる社員専用のサイトで調べた。
すると総務で再発行できることがわかった。
用もないし、頼まれてもいないのに
私は総務に直行した。
「あの。。。すみません」
「はい」
「頼まれたわけじゃないんですけど、ちょっと聞きたいことがあるんですが」
「どうぞ」
「社員の人が社員証を割ってしまったのですが」
「え?故意にですか?w」
「故意じゃないですw」←これに関してはちょっと怪しい(笑)
「あぁ、事故ですかw」
「はいw で、再発行ってできるんですか?」
「できますよ。このサイトのここから必要書類をダウンロードして、必要事項書いてもってきてもらえれば再発行できますよ」
「ありがとうございます」
「あ、あと写真が必要になります」
「サイズとかは・・・?」
「持ってきてもらえればこちらでサイズは調整するんでいいですよ。もし撮るのが面倒とかであればこちらでデジカメで撮りますので」
ノリのいい総務の人はデジカメをかまえながら笑って答えてくれた。
内心「いやいや。。。それはちょっと気まずいだろー」と思いながら
総務を後にした。
自分のデスクにもどって書類をダウンロードして出力した。
そして、手書きで説明を書いた。
字が気にいらなかったり、言い回しに納得できなかったりして5回も書き直した。
ラブレターを書いているわけじゃないのに
なんでこんなに緊張するんだろう。
やっと書けた頃に彼が帰ってきた。
私は彼が一人で廊下に行くのを見計らっていた。
あ、今廊下に出てこっちのドアのほうに行く。
どこかでまた神様が教えてくれた。
私は書類をいれたファイルを持って廊下に出た。
彼がこっちに向かって歩いていた。
「あの、すみません」
「あ、お疲れ様です」
彼がこっちを見た。
「あの、社員証割れちゃったじゃないですか」
「おぉ~、ホンマばっきりいってるわ」
彼は胸のポケットからバッキリ割れた社員証を出すと
私に渡してきた。
セロハンテープでむりやりくっつけている社員証。
彼の名前をあらためて見て
私の好きな人、この人だって思った。
「この書類出せば再発行できるみたいですよ」
「おぉ、総務とか??」
「はい。一応、説明も書いておいたんですけど」
「おー、わざわざ出してくれたんや?!やるなー!仕事できるなー!」
「いやいやw」
「ありがとー!」
「いえいえ。あ、あと、写真が必要らしいです」
「おぉ、そうなんや?」
「もし撮るのが面倒だったら総務の人がその場で撮ってくれるらしいですw」
「それはちょっと厳しいなぁwwwww」
「ですよねwww」
「作った顔とかできないやんw こういう写真は顔つくらなw」
私は笑った。
彼が話してることがおもしろいから
そして、今いる状況がしあわせすぎて
笑顔以外の顔ができなかった。
「ほんまありがとう」
彼がまた笑った。
私は彼に一礼して去った。
用もないのにそのままトイレに直行した。
話しちゃった。
話しちゃった!!!
こんなに普通に話せるなんて信じられなくて
手が震えてガクガクした。
あの人があんなふうに笑ってくれるなら
私はいくらでも力になろう
あの笑顔を何度も見たい。
もっと彼と話したい。
鏡の前の自分はいつもより少しきれいに見えた。
明日、もっと彼のためにきれいになろう。
彼の前で、もっと笑顔でいれるように
明日もがんばろう。
わからないことばかり。
けど、この人が好き。
他の人なんてまったく見えない。