そして、♂も空へ逝くときがきた。
♂ 『お前の元へ行くよ。臨終の際で僕に『待っています。』と 言ったこと憶えているだろうか。』 毎夜 夜空の星に 囁いた言葉は お前に届いていただろうか?
♂の魂がたどり着いた先に――――
♀は 居なかった。
♂ 『お前は 何処にいるのだろう?』
あの彼方に光輝くのは〇だろうか?
魂を翔ばそうとしても遠すぎて 叶わなかった。
♂は 星をすくって 橋を作り始めた。
何年も何年も ♂は♀に 必ず逢えると信じて。
♂ 『星となっても〇と一緒にいたい。声が聞きたい。笑顔が見たい。…抱きしめたい。』
まぶたを閉じると♀の笑顔がうかぶ。
でも あまりにも時間が過ぎて もう 愛しい♀の顔を 思い出せなくなりそうだった。
♂ 『早く〇に逢いたい!』
ある日 ♀は ♂の魂が翔んで来るのを 感じた。ずいぶん前から 温かいものの気配は あったが 漠然としたものだった。
♀ 『このひどく 懐かしい温かさは ●さん?』
一筋の眩い光のこちら側に 愛しい♂の姿が見えた。
♀ 『●さん!待ってました。ずっとずっと ただただ ●さんだけを…待ってました。』
♀も 一心不乱に星をすくった。
♂が 星となってから 千年もの時が流れていた。
♀ 『あ あ あ…。…●さん…』
嬉しさのあまり声にならなかった。
♂も 感極まり 強く強く抱きしめた。
♂ 『千年もの間 〇の笑顔に再び逢いたい一心でここまで来た。』
♀ 『…はい! 』
♂ 『これからの時 二度と 離れることはないね?』
♀ 『これからは どんな時も 一緒です。…ご苦労なさいましたね。私が、ただただ 待っていた間。これから先は いつもいつも ●さんが 幸せでいられるように 笑顔でお側にいますね。…でも 二度もこんなに 幸せを感じることが出来た今日を 毎年思い出して 嬉し涙が溢れてしまうでしょう…。』
二人は 未来永劫 離れることのないシリウス星(おおいぬ座)と なったのだった。
fin