こんなことがあったんだけど。 -15ページ目

「浅田家 ! 」

 

2020年10月公開

出演者: 二宮和也、妻夫木聡、菅田将暉

監督 :  中野量太

 

 

 

この映画は途中から311直後に浅田さんがかかわった写真ボランティアのことが描かれていて、

震災そのものの描写はないのですが辛いことを思い出す人には無理にはお勧めできない映画

ですが、テーマは家族を扱ったものなのであったかいです。

 

人物設定、浅田政志(二宮和成)、兄(妻夫木聡)、父(平田満)、母(風吹ジュン)、

岩手の写真ボランティア(菅田将暉) と大雑把にこんな人たちが出てきます。

 

 

 

(注意 * 以下ネタばれです)

 

なんと、しょっぱなから平田父の葬儀シーンからはじまる。

ギリギリ駆けつけたニノは、平田父の遺影の写真盾を持ってくる。

が、その写真は消防員の姿の父なのである。

 

写真好きな父から小学生の誕生日の時に譲り受ける一眼レフをきっかけに写真の道に進みつつ、

戻りつつ(笑)、止まりつつ、ダラダラと過ごしながらも専門学校卒業制作の一枚をここ一番に

気合をいれて撮り無事卒業。

卒業後は、これまたダラダラと数年過ごし、見るに見かねた兄妻夫木くんが(すみませんこの後も

ずっと俳優名で書きます)、就職先を探してきてやるものの面接をすっぽかす政志ニノ。

 

その面接をすっぽかしていた時に父(平田)の将来の夢、なりたかったものの話を聞いたことによって

ニノの写真家としてのある部分が開花しはじめます。

平田父はなりたかったのは、主夫ではなく消防員だと告白するのです。

そしてニノはこの平田父のために夢を叶えてやろうと思い、それがコスプレによる家族での写真に

なるのです。

 

父は消防服に身を包み、夢がかない満面の笑みを浮かべているのを見て、次は母ジュンの夢を。

母ジュンは、元々の夢が看護師だったのがそのまま叶って現在看護師として働いているのですが

もしもなれるならという体で、極道の妻を演じます。

 

そうなると次は妻夫木兄です。兄は鈴鹿サーキットのレーサーを夢見ており、そのコスプレを

するものの、なぜかレーシングカーに颯爽と乗り込んでいるのはニノだったり。

 

次々に家族でなりきり写真を撮っている様子は爆笑です。

 

あれやこれやとありながらもこの浅田家を写真集として世に送り出すことができ、ご希望のある

家族の写真を撮る仕事を始めます。

最初に撮った家族、岩手のある町の三人家族。桜満開の四月。

余命少ない少年のいる四人家族。

と浅田家以外の家族写真を撮り、個展を開こうとしたその矢先に311はやってきます。

 

初めは最初に撮影した三人家族が気になって行ってみた岩手県なのですが、

残された残骸の中からかき集めたアルバムから一枚一枚写真の泥を除くボランティアを

している小野青年(菅田くん)に出会います。

写真を洗っていると、誰の許可を得て勝手に人様の物をさらしているんだと怒鳴り込む

おやじ(北村有起哉)がいるかと思えば、家族の写真が見つかって感謝を述べる老人など

さまざな人に出会います。

そこで一人の小さな女の子莉子ちゃんとも出会います。

 

ある日、クレーマーの有起哉がバツが悪そうに写真を見に来ます。

それは、先日亡くなったことがわかった娘さんの写真だというのです。遺影にするにも

写真がないからと。でもボランティアの立場では顔も知らない子を見つけるのを手助け

することはできません。

ふと思い立ったのが、学校の卒業アルバムで、結局その卒業アルバムが見つかることで

有起哉の娘さんの遺影用の写真は作れそうだというのですが、なんとも言えない気持ちになる

場面でした。

 

莉子ちゃんは毎日のように洗い終わった写真を一枚ずつ見るのですが、どうしても

見つからない家族の写真があるといいます。

見つからない人、それは震災で見つからない父親です。

探しても探しても見つからない。

手には莉子ちゃんには不似合いなほど大きくてごつい男物の黒い腕時計がはめられています。

おそらく父親の物なのでしょう。

莉子ちゃんは、ニノが実は写真家さんで「浅田家」という写真集を出していることを

菅田君から教えてもらいます。

 

避難所の小学校の図書館で浅田家の写真集を見つけた莉子ちゃんは

「私にも家族写真を撮ってほしい。」と頼みます。

ニノは返答に困ってしまう。

家族写真といっても、もうこの子の父親はいないから。

 

そんな時、ニノに兄妻夫木から平田父が誕生日だから帰ってきて浅田家の家族写真を

撮ってほしいと頼まれます。

平田父は食卓で祝っている最中に急に倒れ入院してしまうことに。

お見舞いの前に神社にお祈りに妻夫木兄と向かうのですが、そこで幼き頃平田父に

兄弟写真を撮られていたことを思い出します。

 

何かひらめいたニノは、平田父の見舞いもいかずそのまま岩手に舞い戻り、莉子ちゃん母子に

家族写真を撮ろう。撮りますと言います。

いままで家族での思い出でいちばん楽しかったことは何かと聞きだし、妹が海水浴だという。

まだ海開きには程遠いほどの春先にもかかわわらず、母子はは水着姿になり震えながら

海岸に。

そのとき、ニノは莉子ちゃんに時計を持ってくるのを忘れてしまったからその腕時計をかして

欲しいとたのみ、黒い腕時計を借ります。

 

そのときようやく私は、莉子ちゃんのお父さんの写真が見つからなかった理由がわかりました。

本来ならもっと早く気づくんだろうけど

寒い寒いと言っていた莉子ちゃんも、ニノの腕を見て、お父さんを思い出し最高の笑顔に

なります。

本当にそのときの楽しかった出来事を思い出すような素敵な家族写真になるのです。

お父さんは写っていない、けどそれは当たり前だった。

なぜならいつもシャッターを切っているのがお父さんだから。

 

莉子ちゃんの家族写真を撮ったニノは役所に行き、そこの伝言掲示板にさがしていた

三人家族が無事でいるというメモを見つけ安堵します。

 

さて年月は過ぎ、実家にもどるニノ。 服装は黒スーツです。

実家では一度も見舞わないまま平田父の家族葬が執り行われています。

泣き崩れる母、父の周りを囲む家族。

 

ラストシーンのみ省略します。

きっと平田満さんもこんなラストをずっとずっとやってみたかったんだろうなーと感じた

ラストでした。

キャストが平田さんだったのはそうだったのかとも。

 

最後に7年後のシーンで、岩手のとある小学校で菅田君が先生として働いている

姿も良かった。

 

------ネタバレ終了------

 

 

ストーリー全部書いちゃったけど良かったかな?(いまさら遅い)

最初の方で家族写真を撮っているシーンはとにかく面白かったのですが、これ

どうやって話おわらせるんだろうとぼんやり思っていたら、突然震災の話が

出てきたから、そうだった宣伝でもやってたんだったと思い出した。

この辺りから、会場では鼻をすする音しか聞こえなくなってきて、みなさんの涙腺崩壊

しっぱなしでした。

 

いわゆるお涙ちょうだいという感じでなく、あったかいものに触れたときにでる涙、

といえばいいのかな? 

こういう涙、嫌いじゃない。

 

映画館はまだ一つずつの間隔を開けた座席指定で、公開から一週間目だったので

一番大きなスクリーンのある部屋だったのですが、座っている人たちはみなある個所を

中心に集まった形で座っているので、こんなに広いのにみんな集まってる感が面白かった。

 

つい最近、免許証を更新したときにふと自分が今死んだら遺影はこの免許証を使うのかなと

思ったら、すごく嫌だったので、じゃあ他に何があるのかと思い返すと、もう何年も自分の

写真がないことに気が付いた。

なぜなら私も自分が家族の写真を撮る係で、自分を撮ってくれる人がいないから。

 

スマホで自撮りをしてみたものの、スマホの自撮り機能はレンズの関係もあり(むしろ

レンズが悪いからだと信じたい)、免許証の写真の方がマシに見えるようなものしか撮れず

かなり落ち込んでいたところに、この浅田家 ! しかも遺影のシーンからなんて、絶句。

なりたかったものにコスプレするなら、、、と妄想をふくらませるものの、色んな意味で

限界を感じた。

 

今はスマホで手軽にシャッターを切る機会が増えてしまったけれど、どんな瞬間にも

心にとめておきたい一瞬がそうさせるのだろう。

ちょっと意外だったのは、写真家である浅田政志さんは、自分の浅田家の写真を撮る時は

タイマーを使い、自分がシャッターを切らないということ。

家族全員を取るならタイマー必須はもちろんだけど、その瞬間をファインダー覗かなくて

いいの? というのが最後まで気になっている。

 

ちなみに我が家の話になりますが、私の実家親戚ではシャッターを切る人は自分たちではない。

時には通りすがりの人やお店の人、色んな人に頼みまくります。

頼んだ人に託すので、その人のセンスによっては背景のタワーのてっぺんが見切れていることも

もちろんある。

けれども、面子は全員そろっている。 浅田さんのようにタイマーを使う方法もあるのだけれど

むしろわざと人に頼んでいる節がある。

おそらく人と関わりたい人たちの集まりなんだろう。

 

自分の家庭が出来てからは、もっぱら私が写真係です。なぜなら旦那が全く写真に興味

ないから。いつか私も家族に撮られたいものです。

そして、日々劣化と戦っていますので、その日が一日も早く訪れますように。

 

 

最後にこの「浅田家 ! 」のプロモーション映像が公式から出ているのですがすごくいい。

小田和正とかが歌っちゃうともうそれは〇〇生命のCM。

 

人が失ったものを補えるのは、きっと記憶だけで、その記憶を確かなものにしてくれるのが

 写真

思い出を残すだけでなく、時にはその写真が今を生きるための力にもなるんだということを