一会
風邪を引いたかな?
体を震わせながらそう思っていると、キュウも大きく体をふるって僕のジーパンに水を飛ばした。
空を見る限りでは通り雨のようなのですぐやむのだろうが、さて、と考えていると、ふと首筋に暖かさを感じたような気がして。
隣に女の人が立っていた。
その人は端整な顔立ちで妙に色白く、大きな目で前を見ていた。
内心ひどく驚いたが、そんな様子は見せないように気を使いながら、また目線を空に向けた。
きっと、彼女も雨宿りだ。いや、普通にバスに乗るために待っているだけなのかもしれない。無言のまま、意識をその人に向けながら、目線を空に向けながら、いつまで降るんだろうと考えていると。
太陽の光が強くなったかなと思ったのとほぼ同時に雨がやんだ。
すると、にわかに音が蘇った気がした。
雨もやんだのでとりあえず歩き出した。
ふと後ろを振り返ると、まだ女の人はバス停に立っていた。
1分ほど歩くと、後ろからバスが追い越し、通り過ぎていった。
水溜りの水をかけないように徐行してくれたようだ。
家に着いたがなんだか不思議な気分だった。なんとも落ち着かない。この感覚はなんだろう。頭をよぎるのは、あのバス停にいた女の人の事ばかりだ。夜になり、ごはんを食べ、お風呂に入り、布団に入っても考えていた。
あの女の人はいつからいたんだろう?
雨で足音が消えたんだろうか?
人見知りのキュウが吠えなかったな。
そういえば濡れていたっけ?
それこそ、狐に化かされたかな?
そして、やっと眠りにつく寸前で気がついた。
歩く僕とキュウを追い越していったバスにあの女の人が乗っていなかったことを。
散歩
write : T.T
散歩をしていた。
一般的などこにでもいるこどもがそうそう散歩なぞするはずも無いと思うかもしれんが、
何も時間を持て余しきっている老人のように一人でブラブラと目的地もなく歩き彷徨うわけが無く、
かといって健康のためにわざわざ時間を割いて中年太りが気になりだした主婦の日課のさして上位にもなりそうもないウォーキングなんぞでもなく、
ただの犬の散歩をしていた。
それもこれも近所のガキが捨て犬を拾ったのはいいが、
どうも世話が面倒になったのかはてさて犬に飽きてしまったのか、
押しに弱い母が近所のガキの母に押し付けられてきた犬の世話係に抜擢されてしまい、
夕暮れの散歩が日課にまで成り上がってしまっていた。
利口な犬なのか躾は基本出来ていて妙に人懐っこく世話係をやっているせいもあり、
一番接する機会が多く情も移ってしまい今では家族同然のキュウだ。
と、いつだったかのある日、
その日は太陽が出ているにもかかわらず雨が降っていた。
学校が早く終わり、
宿題もすませてしまいやることもなかったのでキュウの散歩に出ることにした。
散歩はコースが四通りあり、といっても二通りとその逆なだけだが、
たまにはちょっと遠出でもしてみようといつもの歩きなれたコースを途中から外れていった。
慣れないことはするもんではないとはよく言ったもので、
いつもの散歩コースを歩いていればもう家に着いていただろうに、
さっきまで晴れていたのに…といっても太陽は出ているのだが、
雨が降り出してきやがった。
そんなに珍しくもないがかといって頻繁にあるわけでもないお天気雨だが、
確か狐の嫁入りだったっけ?
とか思いながらちょうど近くにあったバス停で雨宿りをしていた。
この時から何か嫌な予感がしていたんだ。
何故か背筋がゾッとした。
「命令」
write: S.T
人間には「命令」が来てないのか?
どくん、心臓が変な音を立てた。
「何読んでるの?」
「うわぁー!」
立ち上がるのと同時に椅子が大きな音を立てて倒れた。
一瞬集まった視線は、椅子の音だと分かるとすぐに拡散していった。
「あはは。そんなに驚かなくても。」
「で、何読んでるの?漫画なんて学校で読んでると没収されちゃうよ?」
座ろうとする僕の手から漫画を取った。
「大きなお世話だよ。」
椅子に座って胸を落ち着けようとした。
驚いたからなのか、心臓はまだおさまろうとしない。
何故だか「命令」と言う言葉が不思議な感情と記憶を呼び起こそうとしているような気がした。
「きせい、じゅう?」
「そう、寄生獣だよ」
「ふーん。うわ、なにこれ、グロいよ。こんなん読んでんの?」
ページをぱらぱらやりながら彼女は顔をしかめた。
「別に何読んでたっていいだろ。」
多少乱暴に漫画を取り返した。
どうしても心臓がおさまらずに、なんだか興奮していて言葉が荒くなる。
「あー、でなんか用?」
早く続きが読みたいのでそっけなく聞いた。
「そうそう、数学の教科書貸してくれない?」
「あー、はいよ。」
机の中から取り出し彼女に渡した。
彼女は何か言いたげな顔をしたが
「ありがと」
と言って教室を出て行った。
彼女が教室を出るのも確認せずに漫画を開いた。
だから何なんだよそれ…神様の話か?
私が人間の脳を奪ったとき1つの「命令」がきたぞ…
「授業始めるぞー!」
ブザーとともに現国の教師が入ってきた。
僕ははっとして漫画を机につっこんだ。
それでも、最後に目に入った文は頭の中ではっきりと残っていた。
”この種を食い殺せ”だ。
心臓が音を立てる。どくん。
背筋がぞくっとして、まるで細胞が歓喜しているかのように鳥肌が立った。
初めて読んだ漫画なのに、なんだか懐かしいような既視感があった。
始まり、始まり。その前に
write : T.T
むかぁ~し、むかし、あるところに、ある少年がおったそうな…
といういかにもって感じで始まってもよかったのだが、
まぁありきたり感はどうも否めず、
というよりかはもう古すぎる。
そんなことは全くもってどうでもよいが、
そんな件が画面に出ているということはもうこの小説…
いやいや物語は始まってしまっているのだが、
今はあえてこれから文章化する物語が
過去か現在かはたまた未来のものなのかは伏せておこう。
文頭にむかしと書いているからといって昔の話とは限らないので注意してもらいたい。
これが小説だということはもう知れたことだろうが、
ということはこれから物語の『起』となる部分が書かれるのだろうが、
そうは問屋がおろさない。
皆さんご存知の通り、
普通に平々凡々と生活していたらこれといって面白い話に発展しないのだ。
だからといってそんな在り来たりな生活を文章にしていたらそれはもう小説でも何でもなく、
ただの知らない奴のつまらない日記になってしまう。
何という難解なパラドックスなのだろう。
こんなことを言うと怒られてしまうな。
ということでこれから『起』が書かれる。
はてさてどんな『起』が待っているのやら。
どうかご賞味あれ。
このブログの説明
まぁなんと言いますか、
ブログで小説を書こうということで、
しかもリレー形式で、
三人で。
これからどうなっていくかは私達もわかりません。
面白くなるのかつまらなくなるのか。
このブログを見つけたあなたは是非読んでいったらいいと思います。
そんなに真剣に読まなくてもいいから何か思ったらコメントよろしく。
因みに不定期更新になると思います。
それではどうぞご賞味あれ。
