その一件から1週間ほど経ったが
山本は毎日のように店に来ては
「今日はリカちゃんいない?」と会う店員に
聞き歩いていた。
リカの精神状態を考慮し、店長も
リカのポジションをフロアから外した。
リカはあの日から笑うことが出来なくなってしまった。
「パク…ちょっと相談」
「ん~?」
バックルームでは悩んだ表情の女性店長と
ユチョンがいた。
ユチョンはパソコンの手を止めた。
「リカが完全にトラウマになっちゃったみたいなんだよ」
「こないだのこと?」
「そう」
「まぁ、可愛いからねぇ」
「おい!」
冗談じゃない!と言わんばかりに
きりっとした目に睨まれるユチョン。
「あ…うん」
反省したようにユチョンは俯き
耳を傾けた。
「リカと話したら、笑顔で居るのが一番いいことだと
思って信じてやってきたけど、笑っているのが怖いって」
「言ってたの?」
「うん…」
「怖かったんだ…」
「怖かったんだね…」
ふたりは大きくため息をついた。
「でも、リカ自身そんな今の自分が悔しいって思っててさ」
「うん」
「フロアの仕事に自信持ち始めた矢先の出来事だったから」
「たしかに、楽しそうにいつも笑ってるのがリカちゃん…ってイメージだね」
「どうしてあげるのがベストなのかな…」
「・・・」
「リカが自分を責め始める前にどうにかしてあげたい」
そう言って、店長は再びエプロンの紐を
結び始めた。
「僕たちが笑わせてあげよう?」
「え?」
意外な答えに店長は目を丸くしていた。
「笑うことっていいことなんだなって、
もいっかいわかってもらえればいいんじゃないすか?」
ユチョンはユチョンらしく穏やかな口調で
答えた。
「それもそうか!」
「そっすよ、むじゅかじく考えない^^」
「いつもパクはわかりやすい答えくれるね」
すっきりした表情で店長はパチンと両手を
鳴らした。
これでおしまい!と
何かを区切ろうとする音が響いた。
