秘密の小説文庫

秘密の小説文庫

ある人の短編小説を載せるブログだ。私には用のないものでな。

Amebaでブログを始めよう!
 天咲は早く帰りたい一心で帰宅部へ入ろうとしたが、帰宅部の名を借りた遠距離競走専用の陸上部だった。そしてバスケ部に入ろうとするも、何故かバスケ部員は殺意満々で天咲をズダボロに引き裂いたのだった……。
 一体何の恨みがあるんだぁ~~~~!!!

 肩を落とし深い溜息をつく天咲。腕を組んだまま氷室は、
「とりあえず貴様をどっかにやらないと邪魔で仕方ない」
「テンメッ!!」
 天咲は怒りマークを一杯頭に浮かばせた。
「さっきからいちいち癇に障ることばかり言いやがって! 表出ろ!! つーかヤらせろ~~!!
 指差しながらキーキー怒鳴り散らす天咲に、氷室は耐えかね、
「インフィニティ・ブロウ!!」
 ズガガガガガ!!!
「ボンバベッ★」
 一瞬にして小刀による連撃を見舞い、血塗れに伏した。
「ここはオードソックスに野球部に行くぞ」


 広いグラウンドに4つのエリアに分けられていた。野球、テニス、サッカー、陸上と言った具合だ。
「我が化身・太陽神アポロ!!」
 なんと一人の男が背後から巨人を具現化させ、サッカーボールを蹴り上げる。
 ドッギュウウウン!! ズバァン!!
 オーラを纏ったそれはフィールドをすっ飛び数人を吹き飛ばしてゴールへ突き刺さった。
(イナズマイ○ブンっスか~~~!!)
 唖然と天咲はサッカー部を眺めていた。
「……根我 唖歩路(ねが あぽろ)か。三年生でサッカー部のキャプテン。化身を発生させアー○ドもできる。必殺技はサンライトロードライシングサンV3だな。去年初優勝を飾った切っ掛けになった男だ。最近では時を駆け抜けているらしいがな」
「もろイナ○レじゃないっすか~~~~!!」
「ちなみに死者が三桁を越えるほど厳しい部活動だ」
「どんな練習してんだ~~!! ってか部員何人いたんだ~~!!?」

 済ました顔で続々と解説をする氷室に、天咲は激しいリアクションで突っ込み続けたのであった。

 ワーワーと歓声が沸き上がっている方へ振り向いてしまう。
 なんと陸上部だ。楕円のコースで芝生が敷かれていて柵で仕切っている。観客が丸めた新聞を手に応援を上げていた。
 パカラ、パカラと犇く馬達がコースを駆け抜けている。
一着はリテムユーギオーだ―――ッ!! 二着はゴヒャクガヘリス、三着はチョコット!」
「陸上って言うか競馬だ~~~~!!!」
 目玉が数十センチくらい伸ばし、驚愕の声を上げた。
「リテムユーギオーは朝日杯、皐月賞、日本ダービー、菊花賞と連勝している重賞馬だ。今年から天皇賞へ挑む予定か」
(何でそんなトコまで詳しいんスか~~!!)
 こんな所にまで詳しい氷室に、天咲は絶句した。

「着いたぞ……。ここが野球部だ」
 しばらく歩いて後に、野球のグラウンド手前に到着。野球部員はそれぞれ得意なポジションで練習に汗を流していた。
 カキーン!
 甲高い音を響かせ、歓声が沸く。一人の男がホームラン級の打球を飛ばしたようだ。球は彼方へ沈んでいく。
「あの男は……」
 顔立ちが整っていてキリッとした美男子で髪の毛はさっぱりしたスポーツ狩り。リア充よろしく明るい笑顔を振りまいてホームへ走っていた。
 場外で女生徒が数人キャアキャア叫んでいた。
 嫉妬を剥き出しに恨み募る天咲は、
「あの野郎!! 三河 誠(みかわ まこと)! 小学の頃からオレの同級生でモテモテだった男。オレが好きだった女を彼女にしてしまったんだ! しかも二人とも文武両道で性格もウマがあって、万年夫婦とさえ言われているほどだ!」
「そんな下らない事には詳しいんだな」
 肩を落とし氷室は呆れた。

「殴り込みじゃあ!! 道場破りでぇ!!!」
 なんと全裸状態の天咲(全裸)はバットを両手に、グラウンドへズカズカと踏み入った。
 キャーと女生徒が悲鳴を上げ、戸惑う野球部員。だが三河は、
「とどん波!!!」
 ずどん!!
「ギハァ!!」
 三河は指から鋭い光線を放ち、天咲(THE・ZENRA)の胸を穿ちふっ飛ばす。ぷすぷすと撃沈される天咲(フル○ン)。それを尻目に引き上げていく野球部員。

「クッ! 野球でも勝てなかったか……!」

 と拳を握って悔しがる天咲(裸体)に、
(……むしろ桃白白の得意技で迎撃されたようにしか見えんが)


 何をやってもダメだと頭を垂れて落ち込む天咲に、氷室は見かね深い溜息をついた。
「しょうがないな。新しい部活動を立ち上げるとするか」
「え?」
 そんな声に見上げた天咲に、氷室は背中を向ける。ふわりと重量無視のツインテールが舞う。
「手続きと準備に時間がかかるが、首を長くして楽しみにしてろ」
 歩き去る彼女の背中を、天咲は呆然と見送った。
 天咲と氷室はツーマンセルで組まれていて、同じ寮で嫌々暮らす事になった。そして部活を見回って入部を決める事になったと言う解説をここに印した。
 そして読者さんの皆さんに大事な事を伝えたい。

「はぁ……コメントここに来ないよ……。面白くねーんかな?」
 と深い溜息をつき、ミイラのように凄まじく痩せ細った天咲が項垂れていた。
(ネガ凄まじいな……。バックに悪霊沸きまくってる…………)
 生気すら感じさせない顔に、氷室は青筋を立てた。
 なにやら天咲がトンテンカンとハンマーを手に台らしきものを作り、藁を編みこんで太い紐を紡ぎ上げていく。
 そのまま台の上に立って、木に吊るしたわっかの紐を手に、
「ブログを閉鎖っつーか、人生を閉鎖したい……」
 暗い面持ちで首を紐に引っ掛ける所を、
「ちょ!! 早まるな~~~!!!」
 流石の氷室も目飛び出させて制止の手を伸ばした。

「コメントしてくれると嬉しいな~♪」
 テヘッと天咲が明るく囁きかけた。そんなギャップに氷室は殺気立てた顔を見せ、怒りマークを浮かばせた。
 補足:これ自体がギャグなんでコメしなくていいよ~w (^^;


 古風な洋館が漂う広い廊下を歩きながら、天咲と氷室は生徒とすれ違いながら見渡していた。
「帰宅部……入りたいんだったな?」
 と、氷室は天咲に視線をよこす。天咲は「うん、まぁ……」と熱気が入らぬ顔で頷く。
 帰宅部とかかれたドアの前で天咲は生唾を飲み込み、ノブを手に開く。
「帰宅! 帰宅!! たかが帰宅なれど、その過程こそ努力の汗が輝く!!」
 なにやら熱気ムンムン沸きあがっている部室に、数人の部員が「おお!」と気合を張り上げ、主将の怒号に応えた。
(なんだ~!? この熱血漢は~~!!?)
 たかが帰宅するだけなのに、まるでスポーツに励むが如く暑苦しい様子に天咲は汗タラタラと竦んでしまう。
「学校から自宅まで42.195kmもの距離を走り抜く事こそが……」
 ……バタン!
 天咲はドアを閉めた。
「そもそも帰宅部に部活動があること自体、おかしな話だ」
 落ち込む天咲に、氷室は冷静に突っ込む。
 イラついたのでアームストロングカノンという大砲をぶっ放して帰宅部の部室ごと木っ端微塵に吹き飛ばしてやった。
(何故幕末の兵器!? しかもどっから……?)
 冷や汗タラタラで氷室は、大砲を軽々と肩に乗せて「ワハハハ」と哄笑を上げる天咲を眺める。


「バスケ部でも入っかな~?」
 と、体育館へ向かった天咲は扉を開けた。精を出してボールの追っかけを繰り返す部員が走り回っている。
 ダムダムとボールがバウンドし、弧を描いて飛び跳ね、高い所に設置されている輪へ飛び込む。
 正に青春真っ只中の王道派スポーツだ。
 ほけーと眺める天咲に、主将が歩み寄る。茶髪ボサボサでキリッとしたハンサムで背が高い。
「うん、ここに入部したいのか? 俺は雨中 閃(うちゅう せん)だ。よろしくな」
 190台の身長なのか、偉く高く見えて天咲も尻込みそうになる。
 しかも爽やかに白い歯が輝いていてイケメンリア充ぶりを見せ付けている。

「雨中閃、三年生でバスケ部のキャプテン。チームとの団結が厚い。全国で二連覇するほどの功績をあげていて、卒業後プロ入りが約束されている男だ」
(やたら詳しいっすね……)
 真面目に解説する氷室に天咲は呆然。
「はっはっは、それほどでもないさ。入部希望者ならテストしてあげるよ。軽い気持ちで臨むといい」
 と、爽やかに笑顔を向けられた。
 入部テストと言うことで緊張に強張る天咲。やべぇ……と思うくらい激しく脈打つのが止まらない。

「さぁさぁ、テストは簡単だよ。ウチの部員を相手にドリブルしてシュートするだけでいいさ」
 と、明るく促してくれて安心した天咲はバスケットボールを手に立ち上がった。
 部員はそれぞれポジションに配置されていて、手にはフレイル、槍、剣、大剣を携えていて殺気立つ悪魔の顔で待ち構えていた。
「グヘヘ……獲物じゃあ~。獲物じゃあ~~」
 ドス黒い声を発しながら涎を零し、飢えたような顔を覗かせた。
「殺る気満々だ~~~~!!!」
 目ン玉飛び出し恐怖に竦み上がる天咲。主将に助けを求めるべき振り向くと、さっきまでとは打って変わって悪魔の顔で見下ろしていた。
「ウチはそんなに甘くないよ……」
 ニヤリ、と悪魔の笑みを見せた。
「ぎゃおう~~!! 助けて~~~!!!!」
 恐怖に立ち竦む天咲に、一斉に部員は獰猛に得物を振るってメチョメチョにフルボッコ。
「クラッシュボール!!」「イレイザーガン!!」「オレのスピードは宇宙一だぜ!」「息を止めてザ・ワールド!!」
 それに紛れてギ○ュー特戦隊がオーラを纏って苛烈な攻撃を加えていた。

 沢山の得物を突き立てられボロボロの天咲は血塗れのまま横たわっていた。床に血の絨毯が広がっていく。
「うむ、残念だったな。お疲れさま」
 腕を組み冷静に労う氷室に、
「残念ってレベルじゃなかったろ~~!! 三途の川見えたわ~~~~!!!」
 天咲は血塗れながらも飛び上がって叫び上げた。
(……こんなんでもよく死なんな)

 すると他の生徒が三人来ていて、主将は微笑みながら「入部希望者ですね。歓迎しますよ」とすんなり普通に受け入れられた事に天咲は落差に怒りを感じた。
「ちょっと待て~~~~!!! 待遇違うじゃないか~~~~!」
「うん、これでトドメだ!! スペースシャトルダンク!」
 主将は巨大な宇宙船を手に、打ち下ろす。
 宇宙へ飛び出すほどの推進力に加え、何十トンもの重量を持つ機体が天咲一人にぶち込まれる。
 どご~~~む!!
「ギニャ~~~!! NASA万歳~~~~~!!」

「うん、これは諦めろ。次行くぞ」
 と、ズダボロ瀕死状態の天咲の襟を掴んで引きずりながら体育館を後にした。