逃避行 などと言う言葉を 久しぶりに思い出した
若い時は そんな言葉は使わなくても いつも心にそれがあった
サンドバックの様な袋に なにがしら必要なものを入れて
片手には 皮のトランクを下げて
お金は無くても 「何とかなるさ」の気持ちだった
サンドバックの様な袋も 皮のトランクも 持っていたが
お金がないから 出る事は無かった
度胸も お金もなかったからだ
髪の毛は 耳が隠れるほど長かった
あれから 50年が経った
逃避行と言う言葉が 不意に出て来た
逃避行の意味は その若い当時とは変わった
誰かさんと一緒に 二人で何処かに消えたい
そんな気持ちで 逃避行と言う言葉が ついて出た
自分の人生の最後 何か消えて行く世界を想った その言葉が出た
考えてみると この世の中に 自分は何も残せなかった
残そうなどと 思った事は 一度もない
ただ 今 自分の終着が近づく中
何か 自分だけのモノを 残したいと考えている
宝くじでも当たれば 世界クルーズに出たい
そして どこかの国で 終着地を見つけた
お金もないのは 若い時と変わらない
サンドバックの様な袋も もう今では 重くて担げない
皮のトランクも それ自体重いから そんなものは持って歩けない
どうせなら だけかと一緒に行動したい
それも 女性が良い
何もかも 共通の時代を歩いた人が言い
そんな 妄想を 描いている老人は 結局・・・