東京から 京都
毎年5月は 京都に行くのが 恒例だった
目的は 父のお供だが
それでも 楽しく数日間過ごした
新幹線は ひかりと こだま
のぞみは まだ無かった
ひかりには 食堂車があった
新幹線に乗ると 必ず お酒を飲んだ
乗る前に ビールを買って つまみを買って
父の苦労をねぎらって 一緒に飲んだ
車内販売があると 追加で ビールや日本酒を買った
ある時
京都から乗って直ぐ 食堂車に行った
それは 乗る前に
ビールなど買う時間が 無かったから
父に促されて 食堂車へ
食堂車では 話が弾んだ
5月の京都は 剣道着姿の 剣士が一杯
大会があったり 高段者の 審査会がある
父は 八段の審査だ
毎年 数千人が 各地で審査し
その審査に通った 剣士だけが 京都の審査を受ける
数百人に 絞られた剣士が 一次審査 二次審査を受ける
最後は 筆記試験があり
審査に通って 昇段できるのは 10人程度
大会を振り返り 父も 饒舌になる
指定席には戻らず 飲み続ける
気が付けば すでに 次は横浜
やっと重い腰を上げて 食堂車を出る
結局 二時間ほど 食堂車で過ごしてしまった
そんな思い出も もう遠い昔
いつの間にか 新幹線の 食堂車は無くなった