WHO(世界保健機構)のテドロス事務局長の辞任を求める署名活動に五十万人以上が賛同しているらしい。大国におもねる発言を繰り返してコロナウイルスの危険性を過小評価し、結果として世界中を恐怖のどん底に突き落としたのだから、本人に弁明の余地はあるまい。古代アテネの陶片追放制度があるわけではないが、WHO自身も今となっては彼の存在自体をなかったことにしたいところだろう。辞任は時間の問題だと思うが、問題は何故こんな人が選ばれたのかで、ここをきちんと検証しないと同じ過ちを何度も繰り返すことになろう。情報を集めたところ、WHOの事務局長は従前は執行理事会で決められていたが、密室での協議が批判されて、2017年から総会で選ぶことになり、一国一票という総会での選挙でテドロス候補が当選したらしい。イギリス出身の対立候補がブレクジット騒動で人気を落とす中、テドロスはアフリカ票などを集めて当選したようだが、ここでの疑問は公衆衛生については指導を受ける立場のアフリカが、WHOを指導する立場として誰が適任か判断する能力があったのかということだ。民主選挙を否定するつもりはないが、一人一票(一国一票)が機能するのは、皆が同程度の知識を持っていることが前提であって、公衆衛生などのように余りにも知識・経験のレベルが違うことについては、一国一票は不適切ではないだろうか。異論はあるかもしれないが、私は密室協議と批判されても、世界中で多くの人が死ぬことになるよりはマシだと思う。

 

残念ながら、テドロスは選出されてしまった。しかし、今から思えば、テドロスに危なさの予兆はあった。彼は、就任するとすぐ、ジンバブエの独裁者ムガベ大統領(当時)WHO親善大使に任命する意向を示したのだ。しかし、自らの治療には国外(シンガポール)の病院を利用していることが示している通り、ムガベ大統領はジンバブエの医療制度を崩壊させた首謀者だ。冗談にも程があると世界中から反対の声が起こり、その結果、テドロスは提案を引っ込めたが、この時にテドロスの胡散臭さに気付くべきであったのだ。

というのも、テドロスがムガベをWHO親善大使に任命しようとしたその二年前、同じくムガベに対し、中国がノーベル平和賞に対抗して制定した孔子平和賞を受賞すると決めていたからだ(ムガベは受賞を辞退)。ムガベを媒介として、中国とテドロスの間に取引関係があったことが伺われるではないか。