ベストセラー「五体不満足」著者、乙武洋匡さんが、友人女性と二人で予約した銀座の雑居ビルの2階にあるレストランを訪れて「入店拒否」された時の顛末。

 僕は最初「入店拒否」はしないだろう。予約を受けて食材も用意して来店を待っていたわけだから、店の前まで来た予約客の入店を拒否するわけがないだろう、と思いました。
 ただし、介助は拒否したようです。乙武氏の身体を担いで2階まで運ぶというサービスを拒否したことには間違いないと思います。

 双方のブログの記事を読むと微妙に食い違っているので、和解したというのは怪しいです。ただ、何にしても、乙武さんとシェフの高田さんの、どちらか一方だけが悪いと決めることはできないなあと思いました。

乙武洋匡オフィシャルサイト「イタリアン入店拒否について」
http://ototake.com/mail/307/


trattoria GANZO「2013-05-18 乙武様のご来店お断りについて。」
http://ginzaganzo.com/info/444903

 この店はオーナーシュフとホールスタッフの2名で運営しており、料理を作ってテーブルに出すまでの一連のサービスを確保するには、どちらか1名が欠けた状態は、たとえ数分でも困るのではないか?と乙武氏はブログ記事で推測しています。
 でも、同じ記事の中で、シェフが階段を降りて来てビルの入口で「車椅子で来店することを事前に連絡してくれないと対応できない。」と説明した、とあります。
 仕事を抜けてビルの入口まで降りてくる時間があったのですから、乙武氏の「たとえ数分でも」という推測は外れています。

 では事前に連絡して、何の対応をするのか。

 乙武さんのブログ記事によると、乙武さんの電動車椅子は重量が100kgあるので、階段を持って運ぶことはできないそうです。なので、店内に持ち込めない場合は、店外に置くしかないと、乙武さんはブログに書いています。
 店は狭い雑居ビルで、建物の入口がいきなり階段とエレベータ(2階には止まらない)ですから、もう路上駐車するしかありません。この周辺の歩道は自転車すら駐車禁止されてるようなので、電動車椅子を駐車するには、何か事前に対策を考えて用意しておく必要があります。
 一般的には「周辺に駐車場がないので自動車でのご来店はお遠慮下さい。」とか「コインパーキングをご利用下さい。」言う店はありますから、それと同じように「電動車椅子は保管場所が確保できないのでご遠慮下さい。」と言われても仕方がないと思います。

 それだけのことなら今回のように「入店拒否!」なんていう大騒ぎにはならないで、「電動車椅子は不便だなあ。」というだけの話です。
 乙武さんが今まで経験して来た中で電動車椅子が不便なのは十分知っているはずです。店の実名をブログに晒してまで冷静さを失うこともなかったはずです。何でこうなったのでしょう。

 ここからは憶測ですが、同行した友人が話を盛ったのではないかと思います。

 シュフの高田さんはブログで「お客様に対して強い言葉使いはしない。」と書いていますが、来店して最初にシェフと話をしたのは乙武さんではなく同行した友人です。乙武さんはビルに入れないので、同行した友人が一人で店に行ってシェフと話をして、シェフの言葉を乙武さんに伝えています。
 最初にその友人が店内に入って介助を依頼したところ「手が話せないからちょっと待ってて下さい。」と言われたそうです。その言葉を乙武さんに伝えて、二人で店の外で待っていて、数分後再び店に様子を伺いに行って、帰って来たら泣いていたそうです。
 泣いている友人を見て乙武さんは驚き、冷静さを失ったのではないでしょうか。その友人が泣きながら、乙武さんにどんな言葉を伝えたのでしょう。

 彼女は2回目に店内に入った時、どんな気持ちで話をしたのでしょう。「お忙しいところすみませんが」という気持ちで言ったのか、それとも「一体いつまで待たせるつもり?」という気持ちで言ったのか。それによって、店側の対応も違ってくると思います。

 高田シェフにどんな話し方をして、どんな受け答えをされたのか、そしてその言葉をどう乙武さんに伝えたのか、そこに原因があるのではないかな?と思いました。