「そいつ、誰なんだよ」と、恵子の後ろから声がした。RX-7の、開いたウィンドーの運転席から、LAレイカーズの白いキャップをかぶり、口ひげを生やした若い男が二河をにらんでいる。
「誰でもないわよ」と恵子が答えた。「二河良といって、私の中学・高校の同級生。同じクラブだったのよ」
「クラブって何だよ」
「軽音学部」
「おまえのガラじゃないだろ。楽器は何をやってた」
「二河がギターで、私がクラリネット」
「ハハハハッ!」と、男はバカ笑いする。「おまえ、クラリネットって顔してねえだろ!」
なんでこんな品のない男とツルんでいるのだろうと、二河は愕然とした。
