あたし保管所 -4ページ目

あたし保管所

自分を失わないように
思った事や感じた事を
素直に自分の為に
タラタラ綴ります。

勢いよく部屋を飛び出した。
息苦しい空間から神戸の夜の中へと逃げ込んだ。
着の身着のまま何も持たずに、すべてを放り出して全力で駆け抜けた。辿り着くはずもない貴方の元へ。
まだ知らない街を手探りする事すらせずに、ただただ力一杯 走った。
ふと、見覚えのある街並みに足が止まる。あれ...?
あの日貴方と居た其処は、真っ暗でまるで別世界に思えた。
今世界で1番悲しかったはずの私は、なんだか急に力が抜けた。
なんとなくそのまま坂を下り、記憶を辿りながらまた上った。
あんなにキラキラしてた都会の街が殺風景に思えて不思議だった。
あの時は見えなかったものが色々あった。
コンビニ、ガラス越しのウエディングドレス、ご飯屋さん、パーティをしている外国人の居るマンション、小さなお寺?普通の家もあったんだ。おかしな世界に思えた。
貴方越しの背景でしかなかった街並み。
1人だけで歩く其処はすごく急な坂だった。
繋いでいないその手に引かれて歩いた坂道。
物語の中みたいにキラキラしてて、なにか宝物が見つかりそうな、そんな気さえしてた。
今はただ、知らない街。
一定の距離を保ちながら、知らない人と歩いてる。
手は宙に揺れるだけ。
真冬のあの日よりも冷たい空気を掴み、行くあてもなく、急に都会の街に不安を覚えた。
1番帰りたく無い元居た場所へ、1歩1歩ゆっくり歩き出す。
私に行き着ける場所は其処しかないんだった。
其処に比べれば殺風景に感じたこの異空間の坂道が少し愛しくなった。
こんなに近くにあったなんて、ね。
みんなは今なにしてるのかな。笑ってるのかな。
そう思いながら、みんなの分まで泣いたような気持ちになり、私が笑うはずだった分をみんなが笑ってくれてたらいいなと思った。


そんな日を思い出しながら、眠る息子の小さな手を握る。
確かにあるこの現実を確認し、また目を閉じる。
眠れずに迎える夜明け。

きっとまた、みんなにいつも通りの幸せな今日が始まる。


おはよう。