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「ずらし旅」は定着するか?「コロナ禍の副産物」が未来の旅を変える可能性

当務駅長
2021/09/05 20:35

「ずらし旅」は定着するか?「コロナ禍の副産物」が未来の旅を変える可能性

乗りものニュース
2021/09/05 14:10

JR東海のキャラクター「ずらしmado」のLINEスタンプ(画像:JR東海)。

コロナ禍を受け、JR東海が人ごみを避ける「ずらし旅」キャンペーンを展開していますが、はたして定着するのでしょうか。「コロナ禍の副産物」によって「新しい空気」もいま、生まれているようです。

東海道新幹線の窓に映った顔を見て

 JR東海が2021年3月、「ずらしmado(マドゥ)」というキャラクターをつくり、声優(山下大輝さん)もキャスティング。この8月には、そのLNEスタンプの販売を開始しました。キャラクターへの声優のキャスティング、LINEスタンプの販売は、JR東海初の試みといいます。

 コロナ禍を受けて2020年7月、JR東海は「ずらし旅」を提案。人ごみを避けるべく、時間や場所、行動などを定番からずらして旅を楽しもう、というもので、それをより分かりやすく伝えるため誕生したのが、「ずらしmado(マドゥ)」です。

「新幹線の車窓から生まれたモンスター」という設定で、JR東海の担当者によると、東海道新幹線で出張中に車窓と、その窓に映る自分の顔を見て、「窓がお客様に『ずらし旅』をご案内したり、お客様を飲み込んで『どこでもドア』のように『ずらし旅』の現地へお連れしたりすると面白いのでは」と考え、通常は主役にならない「窓」を“ずらし”て、PRキャラクターにしてみたとのこと。ちなみに「ズラシマ・ドゥ」「面島 動」といった表記も、真剣に検討していたそうです。

 今後、この「ずらしmado」をあしらったノベルティを制作し、駅や新幹線車内などで子どもたちにプレゼントする予定があるほか、驚かれるようなことを仕掛けていきたいと、JR東海の担当者は話します。

実はコロナ禍前から「そうだ京都、行こう。」で「ずらし旅」やっていた?

 JR東海が提案する「ずらし旅」。感染症専門医の忽那賢志さんも賛同し、アドバイザーに就任しているそうですが、今後、浸透していくのでしょうか。

 コロナ禍前からJR東海は、すでに「ずらし旅」的な取り組みを行っていたそうです。

 オーバーツーリズムが問題になっていた京都。JR東海はその「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンで、清水寺が朝6時から参拝できるといった情報を伝え、人出を分散できる「朝観光」を勧めていました。

 そのため「ずらし旅」は一過性のものではなく、新しい旅の形としてコロナ後も楽しんでいただけるのではと、JR東海の担当者は話します。

 しかし「ずらし旅」は概念であり、明確な目的地があるわけでもないため、単にそれを言っているだけでは浸透しない、忘れられてしまうという懸念もあるそうです。

 話を「ずらしmado」に戻しますが、JR東海初の要素が多いこのキャラクター。まずその提案を社内で行うにあたって、通るかどうか、JR東海の担当者は課題も感じていたそうです。また一般的に、鉄道会社は安全・安定輸送が至上命題なせいか、保守的な傾向があるものです。

 しかし提案してみたところ、「どんどん柔軟な発想で新しいことをやっていこう」という方向性で話が進み、「出発進行!」となったとのこと。コロナ禍で苦しい状況を迎えているからこそ仕掛けていこう、という雰囲気に、JR東海社内はなっているといいます。

 コロナ禍でいま、特に交通・旅行業界は濃い霧が立ちこめ、いろいろな空気が変わりました。しかし、よどむ空気もあれば、新しい空気も生まれているようです。霧が晴れたあと、そうしたいわば「コロナの副産物」によって、旅はより豊かになっているかもしれません(そう願うばかりです)。